2007年の大学生・社会人ドラフトで3位指名を受け日本ハムに入団し、昨季までプロ野球歴代1位の通算358ホールドをマークしているサイドスロー左腕の宮西。投球比率のほとんどをストレート、スライダーの2球種が占める(昨季はストレート54%、スライダー45%)投手としても知られるが、今回の番組でプロ1年目の2008年に鶴岡コーチから受けた指摘が今につながっていると語った。
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当時プロ1年目・22歳の同年春季キャンプで、当時正捕手だった同6年目・26歳の鶴岡コーチからブルペン投球を受けてもらう機会があったという。大学時代は先発で変化球も複数持ち球としていたというが、鶴岡コーチからは「ほとんど使えねえ」とダメ出しされてしまったという。
ただ、一方で鶴岡コーチは「スライダーだけは一級品。一軍でも使える」と、スライダーだけは一軍でも通用すると指摘。この言葉を受けた宮西は「(その後は)使い分けであったりタイミングであったり、スライダーそのものを良くしようというよりも、『もともといいんだからどう生かすか』を追求している」と、スライダーを最大限に生かすための方法を今も追い求めているという。
VTR内では「どう生かすか」の一例として宮西がスライダーを投じる際、状況に応じて腕の高さを変えていることを紹介。高さを変えることで打者の目線を狂わせたり、スライダーをカーブ、もしくはスラーブのような軌道で投げ込むことができるという。
また、宮西はスライダーだけでなくストレートでも、足を上げてから投げるまでの時間を適宜変えるなどの工夫をしていると告白。「タイミングがちょっとずれただけで打ち損じが出たり、ホームランだったのがヒットで済む可能性もある」、「使い方によっては、真っすぐが何種類にも変わる」と、投球間隔のズレは相手打者のタイミングのズレにつながると主張した。
鶴岡コーチの言葉をきっかけに投球術を磨き、球史でもトップクラスのリリーフ投手に大成した宮西。「自分のスタイルという軸がないとこの世界生きていけないんだなっていうのはこの14年で見てきて、自分でやってきて学びました」と、自分の強みを生かすために模索を続けた結果だと語っていた。
今回の放送を受け、ネット上には「鶴岡が宮西にスライダー以外使えないって言ってた話は初めて聞いた」、「それ以降球質じゃなくて投球術を磨いたっていうのは興味深い」、「腕の高さや投球間隔を細かに変えられるのは器用すぎる、自分なら絶対コントロールがめちゃくちゃになる」、「ここまで大きな故障離脱が無いのは、球速や変化量を無理に追い求めなかったからという点も関係してるのかも」といった反応が多数寄せられている。
宮西は歴代1位のホールド数を記録すると同時に、同2位となる13年連続(2008-)シーズン50登板も継続中。球質ではなく投球術を磨くという判断は、自身のコンディションにもいい影響をもたらしているのかもしれない。
文 / 柴田雅人