番組では今シーズンの阪神の名シーンを実際のラジオ中継音声と共に振り返る企画として、10月24日の巨人戦で代打の原口が巨人・菅野智之から決勝タイムリーを放ったシーンを紹介。紹介後に桧山氏は原口の勝負強さなどについて語ったが、その話の流れで自身が持つシーズン代打安打の球団記録(23本)を巡り、2年前のシーズン中に原口から連絡があったことについて語った。
原口は2018年シーズンに代打で4割超えの打率をマークするなど安打を量産していたが、桧山氏の記録まであと1本に迫っていた9月14日のヤクルト戦でファールを打った際に左手の小指を骨折し同月21日に登録抹消。10月5日中日戦の試合前に再登録されたが、当時は怪我の影響でこれ以上記録を伸ばすことは難しいのではとの見方が大半だった。
自身も原口の怪我の状態を心配していたという桧山氏だが、その桧山氏に中日戦前に突然阪神・藤川球児から電話が。「何かあったのかな」と不思議に思いながら電話に出ると、藤川は「原口が今日(一軍に)上がってきて、桧山さんに話があるということなので代わりますね」と言ってきたという。
その直後に藤川は原口と電話を代わったが、そこで原口は「(桧山さんの)記録に挑戦させていただきます」、「怪我(の痛み)はまだちょっと残ってますけど何とか頑張ります」と桧山氏の記録に挑戦すると報告。桧山氏はまさかの“許可取り”に驚きつつも、「わざわざそんな(報告をしてくれて)ありがとう。せっかくだから超えてくれよ、頑張れよ!」と原口を激励したという。
原口はその後迎えた試合で8回裏に代打で安打を記録し、見事桧山氏と並ぶ球団タイ記録を樹立。復帰後初打席で快音を響かせた原口に、桧山氏は「おお!こいつ言ってからすぐにやったなあ!」と再び驚かされたと語っていた。
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今回の放送を受け、ネット上には「記録達成の裏でそんなやりとりがあったなんて初めて聞いた」、「記録保持者に丁寧に連絡するなんて律儀だな」、「藤川は稲尾(和久)さんの登板記録超える時に直接連絡したらしいしその影響もあったのかな」、「報告したその日に打つっていう有言実行ぶりもまたかっこいいな」といった反応が多数寄せられている。
現役時代に阪神一筋(1992-2013)で活躍した51歳の桧山氏と、プロ入りから現在まで阪神(2010-)でプレーする28歳の原口。両者は2010年から2013年にかけ共に阪神でプレーしている。
その後新記録樹立こそならなかったものの、シーズン代打安打数は現在も桧山氏と並んで球団タイ記録となっている原口。球界には先人の記録に並ぶ、または更新する際に記録保持者に連絡しなければならないという慣例があるわけではないが、それでも大先輩に裏で筋を通していたというエピソードに驚いたファンは多かったようだ。
文 / 柴田雅人