今季、セパともに最下位チームが「2年連続」となる可能性が高い。パ・リーグのオリックスバファローズは中嶋聡監督代行の指揮官昇格が近く発表されるとのことで、「新監督=雰囲気一新」という相乗効果も期待できそうだが、東京ヤクルトスワローズは「厳しいオフ」となりそうだ。
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一部メディアが球団幹部の匿名コメントとして、今季国内FA権を取得した山田哲人内野手、小川泰弘、石山泰稚の両投手の慰留説得を開始したことを伝えていた。山田は打線の核、小川は先発ローテーションの主軸、石山はクローザーだ。投打の中核選手を同時に喪失するようなことになれば、チームは完全に崩壊してしまうだろう。
しかし、こんな意見も多く聞かれた。
「シーズン途中に『オフの話』をするのは、当たり前のことなんですよね。FA権を取得した選手に対しては、前年から慰留して意思を確認します。他の選手に対しても、同様です。オフの契約更改に向けて、フロント職員は希望額を聞き出し、また、厳しいダウン提示になりそうな選手にも妥協できるダウン幅を確認しています」(ベテラン記者)
選手とフロント職員が「非公式」の名目で今後の話をするのは、恒例行事というわけだ。むしろ、山田たちの慰留の話が表沙汰になるほうが、「流出の可能性は高い」と読む関係者も少なくなかった。
「昨年オフ、球団は今季のFA権取得を見越して複数年契約を提示したが、山田たちがそれを辞退した時点で『アブナイ』と察し、以後、必死の慰留が続いていると…」(前出・同)
慰留の下交渉よりも意味シンな出来事が起きていた。10月14日のDeNA戦以降、高津臣吾監督はコーチ陣の“配置転換”に踏み切った。ブルペン担当だった石井弘寿投手コーチと、斎藤隆投手コーチを入れ換えている。
高津監督は「他意はない」と説明していたそうだが、こんな見方もできる。早急にチーム再建の足場を固めなければならない、と…。
一軍コーチの中で現役時代にヤクルトのユニフォームを着たことがないのは、斎藤コーチだけ。旧ベイスターズ、メジャーリーグ、楽天と渡り歩いており、独自の調整法やトレーニング理論を持っている。高津監督がそれを認め、球団にお願いする形で同コーチを招聘した。自身の参謀役でもあり、そのコーチをベンチから外すということは“外部による軋轢”もあったのではないだろうか。
「チーム防御率4・81(15日時点)は、12球団ワーストです。先発投手が試合序盤から失点するケースが続いているからですが、腹心である斎藤コーチをブルペンに行かせ、投手陣の調整方法を改善させようとしたのか、『高津・斎藤体制』にメスを入れられたのかのどちらかでしょう」(球界関係者)
複数のチーム関係者にも確認してみたが、高津監督の3年契約に変更はないそうだ。その3年契約を全うさせるため、二軍を含めたコーチ人事の配置換え、あるいは一部入れ換えも行われるかもしれない。
山田たちの慰留問題も大事だが、その裏でコーチスタッフの大シャッフルも行われそうだ。ヤクルトのオフは大揺れとなるか。(スポーツライター・飯山満)