竹内さんは、7月18日に亡くなった俳優の三浦春馬さんと、映画『コンフィデンスマンJP』のロマンス編(昨年5月)、プリンセス編(今年7月)で共演していた。また、9月14日に亡くなった女優の芦名星さんとは2018年3月から4月にかけて放送されたWOWOWドラマ『イノセント・デイズ』で共演。なお、芦名さんは三浦さんと2008年10月から12月にかけて放送されたTBS系ドラマ『ブラッディ・マンデイ』で共演していた。
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ここ最近、こうして映画やドラマで共演した近しい芸能人が相次いで亡くなっていることについて、ネットでは「ウェルテル効果」の影響が噂されている。
ウェルテル効果とは、マスメディアによる有名人などの自殺報道に影響されて自殺者が増える現象のことで、後に続く者は連鎖の発端となった人物の自殺方法と同じ手段を選びやすいという特徴があり、比較的若い年齢層の間で影響を受けやすいとされている。
日本を含めた全世界のマスメディアは、ウェルテル効果に配慮すべきとするWHO(世界保健機関)の手引きに基づいて、自殺報道を特に慎重に取り扱うよう求められている。
ウェルテル効果に対して、逆に報道が自殺を抑制する「パパゲーノ効果」という現象もある。例えば、死にたいと思っていた人がそれを乗り越えた過程や、辛い状況を乗り越えるための具体的な方法など、自殺を思いとどまるための有益な状況を報道することに効果があるとされている。
その他に、自殺を思いとどまるための対処法として最も効果的なのは、今の自分の状況や感情・思考などを人に話すことだ。
ただ漠然と「死にたい」と感じるだけでなく「死ぬしかない」と思ってしまうほど思い詰めている人は、パニック状態に陥る、または負の感情に支配されるなど、非常に辛い精神状態にある。
言語化して伝えることによって、理論的に説明しようとすることに意識が向かい、辛い感情から一時的に距離をとることができる。また、そうすることによって自分の現状を客観的に把握でき、狭くなっている視野が広がるため、問題解決への思わぬヒントが見つかることもある。身近な人に話すのが難しい場合、電話やメール、チャットを用いた専門のカウンセリングサービスを利用する手段もある。
ただ、相談したい時間帯に話したい相手と連絡が取れない場合や、他人に迷惑をかけたくない気持ちが強く、どうしても相談するという形に抵抗がある場合も考えられる。
その場合は、自分の現状や気持ちを文字や略図などにして書き起こす方法もある。書き方のスタイルは自由だが、その文字や図をもとに誰かに話すことを想像しながら書くと、より客観性が持ちやすい。
いずれにしても、本当に深刻で強い自殺衝動というのは30分も続かないことが多く、ほとんどの場合が10分もしないうちに落ち着くと言われている。その間に会話をしたり文字にしたりしながらやり過ごすことができれば、自殺を回避できる可能性は高くなる。
逆に、精神的に追い詰められた状態の時に最も避けたいのは酒を飲むことだ。アルコールは判断力を低下させるだけでなく自殺衝動を高めることも指摘されているため、特に注意が必要である。
思い詰めている本人から相談を受けた人は、悩んでいる相手の考えに対してむやみに口を出し、また強く否定することはせず、相手が心情を口にしやすいよう、できるだけ傾聴に努めることが望ましい。
自殺衝動は、いくつもの要因が重なって引き起こされる。コロナ禍が人に与える心理的な影響も懸念されているが、マスメディアによるパパゲーノ効果が効果的に発揮されることを願いたい。
心より竹内さんのご冥福をお祈りする。
文:心理カウンセラー 吉田明日香
厚生労働省、各都道府県では悩みを抱えた人の相談窓口を設けている。詳細はこちらから。 ・厚生労働省 相談先一覧https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html
・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧) https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php