「藤川は、一軍登板を目指して二軍調整中です。そんな中、昨年のドラフト1位ルーキーの西純矢(19)が藤川の助言や指導を受け、急激によくなったのです」(球界関係者)
二軍戦を見ると、西は他の高卒新人よりも遅れを取っていた。登板機会は与えられるものの、主に中継ぎ。同3位の及川雅貴(19)は奪三振の山を築き、2位・井上広大(19)は早くも4番を務めている。
同期の活躍を横目に見ていた西だったが、若手の先頭に立ってランニングをする藤川の姿に衝撃を受けたのだろう。積極的に教えを請うようになった。「言葉の重みが違う」とは、西の“藤川教室”の感想だが、それだけではなかった。
「普通の投手はスキルアップのため、変化球を増やしていきますが、藤川は持ち球の精度を上げていくタイプです。故障経験もあるから、体調管理や関節のケア、遠征先の各地にも掛かりつけの病院があるようです」(同)
そんな西を成長させた藤川に、別の男を預ける案が出てきたのだ。藤浪だ。
藤浪が巨人戦で5回途中11失点と大炎上したのは、9月5日。即二軍落ちも囁かれたが、矢野燿大監督(51)は「雨とかで確定ではないが」と煮え切らない口調ながら、再チャンスを示唆した。
「このときの藤浪の二軍落ちは、当の藤川に預けるのが目的でした。藤川自身、早く一軍復帰しようと必死なので、ためらったようですが」(同)
藤川は、将来の幹部生候補である。鳥谷敬を喪失した今となっては、チームを牽引できる生え抜きも少なく、「引退セレモニーも大々的に」と、球団も準備を進めている。
「西の急成長に加え、藤浪を再生させたとなれば、その地位は揺るぎないものとなります。『矢野監督の次』という話も現実味を増してきそうです」(在阪記者)
藤川の今後だが、引退後については、まだ明らかにしていない。
「藤浪は、臨時コーチを務めた山本昌氏だけには自分から質問に行きました。そういう素直な一面もあれば、1人で考え込んで何もしないときもあるんです。藤川も入団後しばらくは二軍で悶々としていましたし、伸び悩んでいる選手の立場も分かっています」(同)
藤浪を預けたら、藤川の一軍昇格が遅れてしまう。引退セレモニーでひと儲けしたい球団の計算もあるだけに、「門下生入りは今オフ」なんてことになるかもしれない。阪神は「藤川のチーム」へと舵を切った。