「巨人はこの後、阪神、中日と敵地での連戦が続きます。マジックナンバー点灯を阻止できるかどうかは、阪神次第となりました。翌日から対戦するチームがワンサイドで勝っていると聞いたら、イヤな気持ちにもなりますよ。DeNAに対し、もうちょっと頑張ってくれたらの心境だったと思います」(スポーツ紙記者)
同日の阪神はヤクルトのリリーフ投手、マクガフが走者のいない一塁へけん制球を投じる凡ミスで勝ちを拾った。
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「矢野監督はゲームセットの瞬間まで祈るような気持ちだったはず」(球界関係者)
1点リードの9回表、クローザーとしてマウンドに上ったのは、スアレスではなく、岩崎優だった。
試合後の共同インタビューで、矢野監督はこう語っていた。
「今日、(スアレスは)ベンチに入れてなかったのでね。登板がかなり多くなっていましたし、ベンチにいるとどうしても僕も使いたくなるんで。今日は帰れ、と。そういうことで…」
試合出場登録のメンバー表にはスアレスの名前があった。登板過多となっているので、リフレッシュ休暇を与えたというわけだ。その選択は決して間違っていないが、こんな指摘も聞かれた。
「岩崎がクローザーとして登板することは、直前に知らされたようです。スアレスを休ませるつもりでいたのなら、岩崎や他リリーバーにも事前に伝えておけば、彼らの精神的負担も違ったのでは?」(前出・同)
岩崎は先頭打者にヒットを許し、四球も出している。一打同点という場面まで陥っただけに、「事前通達」の意見も間違いではないだろう。投手出身のプロ野球解説者がこう続ける。
「原監督も登板過多のリリーフ投手を、やはり試合出場登録しているのに、ベンチ入りさせずに帰らせたことが何度かありました。第二期政権で、セットアッパーの山口鉄也(現コーチ)に対し、そういう配慮をしたことが何度かありました」
スアレスを休ませたということは、翌4日からの巨人戦に向けて万全を期すためだろう。原采配を模倣したとは思わないが、共同インタビューで「スアレス温存の意図」が知らされるなり、「そう言えば…」の声は記者団から漏れていた。ベンチに待機させたまま登板させない選択肢もあったわけだが、「スアレスがいたら使いたくなるから」の矢野監督の言葉には、“巨人を止めるためなら、なりふり構わず”の決意も秘められていた。
セ・リーグが長い消化試合を送ることになるのか否か、矢野阪神が命運を握っている。(スポーツライター・飯山満)