新型コロナウイルスの感染が明らかになった坂本勇人と大城卓三がチームに合流した。開幕スタメン・遊撃手は、坂本か、それとも、3年目の湯浅大か…。その坂本の状態と開幕オーダーについて聞かれると、原監督は「坂本本人に決めさせる」と答えたのだ。取材記者の多くは「開幕・遊撃手は坂本になる」と予想した。坂本のキャリアを考えれば、当然である。しかし、原監督が通達するのではなく、坂本本人に決めさせるのは何故だろうか。
「本人に出ると決めさせれば、言い訳はできません。打てなかったら、かなり悔しい思いをするはず。そういう強い気持ちを持たせるためでは」(ベテラン記者)
この原監督の「本人に決めさせる」発言が出るまでは、開幕2節目の広島戦からの復帰が予想されていた。理由は2つある。選手名鑑のデータ表を見れば分かるが、坂本は広島戦の打撃成績が3割4分と高いからだ。2つ目の理由は、「10日の入院生活による体力のダウン」だ。
「16日、楽天二軍との練習試合で坂本は『1番・指名打者』で出場しています。2打席目でクリーンヒットを放っていますが、問題は最初の打席ですよ。凡フライに終わりましたが、スイングした直後、坂本は『アッ!』と悔しそうな声を挙げました。本人は仕留めたと思ったんでしょう」(球界関係者)
守備には就いていない。“試運転”ということで無理をさせなかったと思われるが、翌17日、ジャイアンツ球場でのことだ。坂本は片岡治大・二軍内野守備走塁コーチのノックを受けたが、三塁方向の打球を捕り損ね、「ヤスさん(片岡コーチ)と(二遊間を)組んでいたころは捕れました~」と笑って誤魔化している。片岡コーチも「何年前の話だ?」と返したが、坂本自身、攻守ともにイメージ通りに動けていないと察したのではないだろうか。
「当然、そういう報告は原監督の元に届いています。勢いのある湯浅で開幕3連戦を乗り切ってという選択もあったんですが」(前出・同)
これだけは、断言できる。坂本が合流した18日、チームの雰囲気が明るくなった。キャプテンシーを持っていて、チームをまとめていかなければならない唯一無二の選手なのだ。
開幕戦に勝利すれば、巨人は球団史上通算6000勝となる。そのメモリアルに坂本の名前をという、原監督の親心もあるのかもしれない。
「坂本が『出られない』と言ったら、チームの士気に影響します。でも、万全ではないので、途中交代で湯浅を守備に就けると思われます」(前出・ベテラン記者)
マウンドの投手に声を掛け、他選手に守備の指示を出してきたのも坂本だ。その坂本をベンチに下げた後、走者を溜めるような場面になったら、チームが浮足立つかもしれない。かといって、無理をさせれば、大怪我につながってしまう。
対戦する阪神の開幕投手は、西勇輝と発表されている。エース菅野智之との投げ合いが予想されるが、試合前半に得点を挙げ、坂本を休ませてやる展開が理想的だが…。(スポーツライター・飯山満)