八角理事長が「(新型コロナ感染の)状況によっては、さらなる変更もあり得る」と話していることでも分かるように、全く先が見えない状況になっている。
おかげで、力士たちは身動きが取れなくなった。八角理事長は、「(こういうときだからこそ)稽古に励み、精神面を鍛えてほしい」と注文をつけたが、感染防止のために外出もままならない中で稽古一色では身が持たない。
では、閉塞状態の中で、力士たちはどうやって時間をつぶし、ストレスを発散しているのか。
この期間を最も有効活用しているのは、先場所、44回目の優勝をした白鵬かもしれない。「けがや古傷を治す時間を与えてもらったと考え、夏場所に向けて頑張っていきたい」と、突然の休みをリハビリ期間に充てることを明らかにしている。
一方、出鼻をくじかれたのは新大関の朝乃山だ。
「大関は負けられない地位。常に優勝争いに加わらないと」と意気込み、すでに先月末からマワシを締めて稽古場に降りていたところを、やる気に水を差されてしまった。やむなく、テレビや携帯電話でニュースばかりを見ているという。
「有名人がコロナにかかると速報されるので、チェックするようにしている」
先場所、朝乃山は、就寝前にトム・クルーズ主演のアクション映画などを見てリラックスしていた。おそらく今も映画三昧は続いているはずだ。
ユニークなのは人気者の炎鵬。最近、時間つぶしのために料理を始めたとか。「パンケーキを作ったり、パスタを作ったりした」という。入門前の金沢学院大時代もパンを焼いたり、チャーハンを作ったりしていたと明かしている。
夏場所の次の名古屋場所も2週間、延期される予定だ。力士たちの我慢の日々はまだまだ続く。