日本のメジャーリーグ取材陣も、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、帰国の途に就いた。帰ってくるなり飛び出したのは、MLB発表の5月開幕論の否定。しかし、あながち間違った情報ではなさそうだ。
米経済誌フォーブス(電子版)によると、メジャーリーグ(MLB)やプロバスケットボール(NBA)など、アメリカの主要スポーツ興行があと2カ月開催されなければ、最低でも50億ドルの損失。夏場までに事態が好転しなければ、アメフト、アイスホッケー、大学競技にもダメージが及び、米スポーツ界の損失は「100億ドル(1兆円超)を超える」と伝えた。
そして、その影響は次に、日本プロ野球界にも及びそうだ。
「日本では無観客でオープン戦を行いましたが、MLBではオープン戦そのものを中止しただけではなく、スカウトの活動も完全禁止としました。米国のドラフト会議は6月なので、全球団とも頭を抱えています」(在米ライター)
スカウト活動の禁止は、今オフのメジャー挑戦を目指す日本人選手たちの大打撃となりそうだ。なぜなら、スカウトマンが来日不可能となり、これまでのデータだけで獲得するか否かを決めなければならなくなるからだ。
「投手なら、注目はソフトバンクの千賀滉大(27)と巨人の菅野智之(30)。千賀に関しては、球団が米挑戦を許すかどうかはっきりしないので、情報収集のできない今季は獲得を見送られることになりそうです。仮に、ポスティングシステムによる挑戦を許したとしても、情報が少ない分、買い叩かれる可能性が高いのです」(同)
また、野手では東京ヤクルトの山田哲人(27)が影響を受けそうだという。
山田は今オフ、国内FAとポスティングのW行使が予想されている。しかし、メジャーのスカウト陣は、日本人内野手の能力に懐疑的だ。守備の名手、広島の菊池涼介が残留したように、接触プレーが多く、強肩必須の二遊間は日本人には向かないと判断されている。
山田が一塁、三塁、外野に入った際のチェックもスカウティングの視察内容に入っていたが、こちらも情報不足。交渉は見送られることになりそうだ。
「菅野の1人勝ちということになるかもしれません。露出度の高い巨人のエースは、衛星放送で状態をチェックすることも可能ですから」(同)
千賀たちの獲得資金も菅野にまわされる? 公式戦の早期開幕を願っているのは、ファンだけではなさそうだ。