『ドキュメンタル』とは、賞金1,000万円を懸けたお笑いサバイバルバトル番組である。松本やスタッフから選出された10人の芸人は参加費として100万円を用意。制限時間の6時間以内にお互いを笑わせ合い、最後まで生き残った芸人が賞金を手にすることとなる。
今回、シーズン4の優勝者である野性爆弾・くっきー!、シーズン5優勝者のハリウッドザコシショウにインタビューを実施。大激戦となった大会を振り返ってもらった。
ーーくっきー!さんは3回目の挑戦(シーズン1、3にも出演)で優勝されました。松本さんに優勝ジャケットを着させてもらった時は感慨深かったのでは?
くっきー!「感極まりましたね。“街がグレーになる”みたいに、悲しなったら色なくすって言うじゃないですか。その逆もあんねや、みたいな。あの瞬間だけ、白目と黒目が反転していたと思います」
ザコシ「怖っ(笑)!」
ーーザコシショウさんは初出場で1,000万円を獲得。プレッシャーもあったのでは?
ザコシ「僕は吉本じゃないから、負けたら呼んでくれないと思ったんですよね。優勝はせんでいいって気持ちでしたけど、最後の方まで残りたいって思っていました」
くっきー!「観ましたけど、ケタ違いでしたよね。マジで『誰が止めれんねん』っていう(笑)」
ザコシ「でも、(TKOの)木下(隆行)さんを(くっきー!が)ぶっ叩いたヤツあるやん。あれ、やられてたら絶対笑ってた」
くっきー!「気持ち良かったです。大先輩の頭、ドツくのって楽しいですよね(笑)」
ーーザコシさんは同期(大阪NSC11期生、ケンドーコバヤシ、陣内智則、たむらけんじ)が多かったですよね。
ザコシ「ケンコバとはよく絡むんですけど、陣内とかたむけんとかは、あんまり絡んだことがないんですよ。なんだったら、たむけんのことはあんまり好きじゃなかった(笑)。でも、誤解していたというか、ボケたらちゃんとツッコんでくれるし、“こいつイイヤツなんだな”って思って、ちょっと好きになりましたよ(笑)」
ーーお互いの出演大会を観て、どんなことを思いましたか?
くっきー!「そもそもザコシショウがツボなんで、何してても笑てまうんですよ。服を着て立っているだけでもオモロい(笑)。他の回は芸人目線で『あ~こんなボケするんか』とか『このツッコミ上手やな』とか思うんですけど、ザコシショウの回は、ただただ純粋に観て楽しむっていう……。ええ酒のつまみになるんですよ」
ザコシ「俺だってそうだよ。他のメンバーってだいたい地上波でできるようなボケをするんですよね。でも、くっきーは地上波でできへんようなことをやるじゃないですか。『ザコシさんって笑わないですよね』ってよく言われるんですけど、くっきー!みたいなボケをやられると笑ってしまう。他の人も面白いんですけど、想定内のボケって感じかもしれないですね」
くっきー!「(シーズン5で)みんな倒して、ザコシショウさん一人になって、誰もおらんところで、窓から顔出してバンバン(変顔を)やっとったでしょ。あれめちゃめちゃカッコ良かったです。あんな美しいもんはない。芸能界史上一番美しかった。全殺しして(※)一人でボケてるって渋い。あれ、くり抜いてポスターにしたいです」
ザコシ「せんでええわ!」
くっきー!「ダーツの的やけどな!」
ザコシ「顔面にぶっ刺さるじゃねーか!」
※シーズン5で、ザコシは制限時間を残して1人となった。残り時間は敗退したメンバーが笑わせにかかる『ゾンビタイム』を受けるのみだった
ーー(笑)。2人は大阪時代の先輩後輩で(ザコシは元吉本所属)、まだ『ドキュメンタル』では対戦していませんが、どんな印象をお持ちですか?
ザコシ「『同じ狂気のヤツ』って思われがちなんですけど、僕のやっていないことをやってるんですよね。くっきーって“ジャシン教”(漫画NARUTOに出てくる宗教のこと。殺りくをモットーとしている)みたいな感じじゃないですか。タブーって言われるところを手を出しているよね。血、出したりな」
くっきー!「僕は時間を空けてパンチを打つことが多いんですけど、ザコシさんは常に打ち続けられる。心臓、脳みそ、全てにおいてボアアップされているというか、バーサーカー(狂戦士)ですよね。ジャブがなくて、一発が重い。アッパーかフックしか打てへん」
ザコシ「お前もそうやんけ」
くっきー!「僕はためるんで昇竜拳みたいなもんなんですよ。ザコシショウはAボタン押したらすぐ昇竜拳出せるでしょ? それはスゲェですよ」
ザコシ「結局、俺らがネタやってると袖に芸人が集まるやん。芸人を笑わすって面では強いのかもしれないね」
くっきー!「そもそも今まで戦ってきた場所が違う感じがしますね。(他の芸人と比べて自分たちは)ちゃんとした番組で戦ってきてなかったんで……。『ドキュメンタル』ってちゃんとした番組ではないじゃないですか。松本さんがやっている中で唯一変な番組(笑)」
ザコシ「怒られるぞ(笑)。ノールールってところが良いのかもしれないですね。とりあえず6時間で笑わせればいいというか」
くっきー!「他の人は“ルールがない”のが怖いんでしょうね。僕ら、スベることが悪いとは思っていないですからね(笑)」
ーー『ドキュメンタル』出演は、松本さんに指名される喜びもありますよね。
ザコシ「厳選された10人でしょ。それはうれしいですよ。下手なところ見せられないですよね。『こいつ調子悪いな』って思われたくない(笑)」
くっきー!「初めて呼ばれた時は、跳ねて喜びました。その後『100万どうしよ?』っていう大問題が生じて。結局、会社に借りたような気がします」
ザコシ「(当時は)金なかったん?」
くっきー!「全然なかったです」
ーー最後にドキュメンタルの魅力を教えてください。
くっきー!「芸人ふるいザルみたいなイメージです。ふっていらんもんは落ちていって、良いもんだけ残されるというか。ドキュメンタルに出て、ダメな印象を与える芸人もいりゃ『すごい』ってなる、僕らみたいなパターンもあるじゃないですか。そういうザルに近いなって思います」
ザコシ「客層にあった笑いを提供する芸人はいるんですけど、それよりもコアな笑いで『本当に面白いものはなんなのか』っていうものが、ドキュメンタルに詰まっていると思います」
(取材・文 浜瀬将樹)
『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』シーズン4・5
発売・レンタル開始日:3月18日(水)
価格:BD1枚組4,500(税抜)/DVD2枚組3,800円(税抜)
【シーズン4参加芸人】
宮迫博之(雨上がり決死隊)、藤本敏史(FUJIWARA)、飯尾和樹(ずん)、くっきー!(野性爆弾)、井戸田潤(スピードワゴン)、黒沢かずこ(森三中)、ユースケ(ダイアン)、ノブ(千鳥)、大悟(千鳥)、クロちゃん(安田大サーカス)
【シーズン5参加芸人】
ジミー大西、千原ジュニア(千原兄弟)、ケンドーコバヤシ、陣内智則、たむらけんじ、高橋茂雄(サバンナ)、ハリウッドザコシショウ、秋山竜次(ロバート)、狩野英孝、山内健司(かまいたち)