「鳥谷は、開幕まで1カ月を切った今も、何も進展がなく、このまま引退ということもあり得ます。でも、ここに至るまでの間、千葉ロッテと在京セ球団が声を掛けたのは間違いありません。鳥谷との間に入った仲介者が『譲れないものがある』と言うのですが…。それが本人の意思かどうかは、分かりません」(ベテラン記者)
交渉の難航を聞かされたせいか、阪神ナインの間では、鳥谷に関する話題はご法度となっているそうだ。
「投手のまとめ役はベテランの藤川球児(39)。チームの顔も藤川ですが、首脳陣とフロントは別の野手に、リーダーとして期待しているようです」(同)
矢野燿大監督(51)がひそかに期待しているのが、今季8年目の内野手、北條史也だ。この北條は“友達”も多い。投手陣の集まりにも1人で参加するほどで、常に周りに人が集まってくる。だが、2年目の木浪聖也とショートの定位置を争っており、決着がついていないせいか、チーム全体を引っ張るには至っていない。
そんな“無法地帯”の野手陣を見かねてか、あのベテランが立ち上がった。今年、43歳を迎える福留孝介だ。
「若手が打撃ゲージに入ると、福留はバッティングピッチャーを買って出たりしています。その後、散らばったボールを拾いながら、打撃フォームのアドバイスもしていました。同じ外野の後輩でライバルでもある髙山俊にも助言をし、『一歩間違えれば、自分の出場機会を失いかねないのに』と心配する選手もいました」(球界関係者)
福留は若手の中に飛び込み、ランニングや居残り特打などもこなしている。その姿に対し、こんな評価も聞かれた。
「かつてのリーダー、鳥谷も練習熱心でした。ただ、彼は黙々と1人で練習する、背中でチームを牽引するタイプでした。福留は練習熱心なのに加えて助言もします。状況に応じて打撃スタイルを変えられ、試合を読む力にも長けています。チームを牽引でき、作戦参謀的な役目も務まるため、フロントの評価はかなり高いのです」(同)
途中加入の外様選手ではあるが、将来の入閣説まで噂されるようになったのだ。気の早い話だが、矢野監督に何かあった場合、「後継者の1番手」という声も聞かれた。
「鳥谷がいなくなり、遠慮がなくなったのかもしれません。フロントが求めたリーダー像は、積極的に声を掛けていく福留タイプ。鳥谷に冷酷な引退勧告をしたのは、リーダーとしての物足りなさを感じていたからかもしれません」(同)
福留は中日出身。今、阪神で“竜の浸食”に難を示す関係者は少なくないが、福留には好意的だ。
43歳のベテランが虎を牽引していく。