「かつてプロ野球選手会(第8代)の会長を務めたことからも明らかですが、性格は明るく、統率力もあります。何年も前からチームにいた感じ。若い投手を育ててもらわないと」(現地記者)
だが、“嶋一色”とはいかない。そんな気配もグラウンドに漂っていた。
「全体練習後、強化指定の若手が居残り特守や打ち込みを指示されます。ある“若手捕手”の名前だけが練習メニュー表に『居残り』と書かれている日もあり、注目されています」(同)
その若手捕手とは、入団4年目の古賀優大(21)。居残りの指示があるのは、期待されている証拠だ。
古賀は昨季、一軍戦で11試合、二軍戦で80試合に出場。二軍戦では75試合でマスクをかぶった。他にも捕手はいるが、131試合の二軍戦において、半分以上も“扇の要”を任されたというだけで、期待の大きさがうかがえる。
「75試合に出て無失策。これは凄い。でも、古賀がどんな捕手かと聞かれたら、『可もなく不可もなく』。打撃力が優れているわけではないし、本当に普通の捕手」(球界関係者)
しかし、可もなく不可もなくは、欠点がないとも解釈できる。しかも、去年まで二軍の指揮をとったのは高津監督で、今回の一軍キャンプ帯同を決めたのも高津監督だという。
「一昨年、ハフとバッテリーを組み一軍戦に出ています。この試合がハフにとって来日初勝利となりました。当時のハフはなかなか勝てず、気分転換で捕手を代えたんです」(前出・現地記者)
昨秋の台湾リーグにも派遣された古賀。この“高津チルドレン”が正捕手となる可能性は高い。
「ヤクルトの投手陣は、40歳の石川雅規がローテーションの2、3番手に来るありさまです。ドラフト2位以下で3人もの大学卒投手を指名したのも頭数が足りないからで、奥川恭伸の開幕一軍の可能性も消えていません。経験豊富な嶋抜きにしてゲームは成立しません。今季の古賀は『見て学ぶ』立場でしょう」(同)
奇しくも、高津監督と嶋は故・野村克也氏の薫陶を受けた。嶋のヤクルト入りにはそんな縁も関係していたようだが、“ノムラID”を受け継ぐのは、この無名の若手捕手となるかもしれない。