2日に行われたセ・リーグ理事会終了後に巨人・清武英利代表がこう力説した。
「クライマックスシリーズ第2ステージを『ファイナルステージ』と名称変更する。パ・リーグが反対してもセ・リーグだけでもそうする」と。
何もムキになるほどの問題ではないだろう。それだけに、巨人のCSに対する過剰反応がうかがえる。
セ・リーグが、04年からのパ・リーグのプレーオフ大成功を目の当たりにして背に腹は代えられず、遅れて導入したのが07年だ。名称をCSに変更、パ・リーグがプレーオフの勝者をリーグ優勝としたのに対し、ペナントレースの勝者をリーグ優勝としてCSは別物とするなど、差別化を図ろうとした。が、パ・リーグがセ・リーグの主張に同調して全く同じ名称、システムで行われている。
セ・リーグのCS導入は、中日と阪神のマッチレースが続き、勝てない巨人の焦りでもあった。優勝できなくても3位まで出場可能なCSがあれば、最低限のメンツが立つという苦肉の策だ。
ところが、皮肉なことに07年、巨人は5年ぶりにリーグ優勝。それなのに、落合監督率いる2位の中日にCS第2ステージで惨敗を喫し、日本シリーズに出られなかった。中日の方は53年ぶりの日本一に輝き、落合マジックがもてはやされた。
「1位にアドバンテージがなかったのは、ウチが優勝するとは思わなかったからだろう」
巨人・渡辺恒雄球団会長の強烈な皮肉に、清武代表は真っ青。翌08年から「1位チームには1勝のアドバンテージ」という現行の制度ができて、巨人は2年連続CSで中日を破り、無事に日本シリーズに出場している。昨年はようやく7年ぶりに悲願の日本一を奪回している。
が、今季は全く予期せぬ猛虎打線の復活で阪神が優勝モードに突入、2位でのCS進出は、現実味を帯びてきている。1位の1勝アドバンテージが、巨人の首を絞めることになりかねない。同時に、昨年起こっていた「5割にも満たない3位のヤクルトがCSに出てくるのはおかしい。せめて2位のチームに1勝のアドバンテージを与えたらどうか」という論議を真剣に検討しなかった不手際を悔やむことになるかもしれない。
阪神が1位、2位・巨人、3位・中日となった場合に、2位に1勝のアドバンテージがあれば、まず負けることはない。が、現状では五分の条件での戦いだけに、中日に敗れ、せっかく改称した「ファイナルステージ」に進めない危険性は高い。昨年は中日に対し、巨人が16勝8敗と圧勝したが、今季は7勝8敗で中日アレルギーが再発しているからだ。
もしも2位なのに、ファイナルステージ進出ならずの事態になれば、今度は渡辺球団会長から爆弾投下。「なんで2位には3位に対し、アドバンテージがないんだ」と、お叱りを受ける恐れがある。
3位でのCSならば、導入当初の巨人の思惑がやっと実現することになる。さて、巨人のCSを巡る因果はどういう結果になるのか。そこがセ3強ペナントレース最大の見所の一つでもある。