私もリラクゼーションとしてマッサージを受けることがありますが、強く揉まれると痛くなり、翌日まで痛みや重だるさといった「揉み返し」の症状を感じることがあります。
一方で、同じぐらい強く揉まれても心地よいと感じる人もいます。これは、強くマッサージされることに慣れてしまい、痛みを感じるぐらいでないと効いた気にならなくなっているのです。軽いマッサージであれば、筋肉を柔らかくして血行もよくしてくれます。しかし、強いマッサージは逆に筋肉を痛め、後々に障害を残す恐れもあります。
また、強い力で肩や足裏などのツボを押す指圧も、適度に押す程度であれば刺激でよい影響を与えてくれます。しかし、強く押しすぎると筋肉の線維(「繊維」ではない整形外科用語)が断裂し、内出血を起こす危険性もあります。
筋肉というのは、頑丈そうに見えて実はとてもデリケートな組織です。料理では硬い肉を叩いて柔らかくしますが、これも筋線維をバラバラにして柔らかくする狙いがあります。くれぐれも「強い刺激がないと物足りない」と感じる体質にならないよう、指圧やマッサージを受ける頻度や力加減は“ほどほど”を心がけましょう。
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監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPはhttps://ijiri.jp