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LiLiCoオススメ「肉食シネマ」 自分の声を持っているから聴き入ってしまう『“樹木希林”を生きる』

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提供:週刊実話

 樹木希林さんがお亡くなりになった時、私は1人でホテルのラウンジの洋楽バンドを聴きに行きました。悲しい気持ちをどこにぶつけたらいいのか分からず、流れるバラードを聴きながら、ずっと涙が止まりませんでした。次の朝は、コメントできないほどテレビでも号泣。私の数パーセントは“樹木希林”でできていると思うほど、とても影響を受けた方なんです。

 これまで何度かインタビューさせていただいていますが、樹木さんほどの役者になると、数多くのインタビュアーに会っているはずなので、私、“LiLiCo”のことを認識してくださっているのか、いつも気になっていました。

 映画『あん』の時は、作品ができる前にインタビューをするという、かなり珍しいことが起きました。予定時間よりも早く取材部屋に到着した樹木さんは、セットの一部の小さな湯飲みにペットボトルのお茶を入れて、のんびり飲んでました。それには、さすがに私も、小道具を使ったことを突っ込みましたけど、なんだか微笑ましかったです。

 取材中のことです。樹木さんは私に対し、「あなたも大変ね。見てもいない映画について聞くのって」と。続けて「私ね、思ってたのよ。あなた派手だし、声が大きくてね。でも言ってることがちゃんとしてるのよ。でもみんなそれに気付くか心配したけど安心した。売れてよかったね」の言葉をいただいたんです。認識してるどころか、そんなことまで心配してくれるなんて、私は樹木さんの前で大粒の涙を流してしまいました。

 樹木さんはマネジャーがいないので、衣装は作品に合うと思えば自前を持って行くなど、この『“樹木希林”を生きる』で、さらに彼女の素晴らしい所を知ることができました。この作品は“自分で感じて!”が大切なメッセージです。

 樹木さんは完全正論です。実在の人物を演じる時は、写真を見ながらその化粧や髪型に似せる必要があるため、うまく髪型をまとめられなかったメークさんに意見をぶつける。癌の検査結果を見せる。人前で着替える。映画のストーリーに矛盾を感じれば、それを監督と遠慮なく話し合う。これが樹木希林。

 ドキュメンタリーを撮りたいというスタッフと、何が欲しいのかを話し合ってる時も、そこにはセンスに満ちたプロフェッショナルとして生きる1人の女性のパワーを感じます。樹木希林を見て、自分がどんな人か見つめ直す秋になるかも。

画像提供元:(c)NHK
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■“樹木希林”を生きる
監督/木寺一孝 出演/樹木希林 配給/日活 10/4(金)シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー。
■2018年9月15日に逝去した女優・樹木希林を追ったドキュメンタリー。初めて許された長期密着取材から見えてくる、様々な樹木希林。昨年9月26日に放送された『NHKスペシャル“樹木希林”を生きる』に未公開映像を加えて再編集。57年の役者人生の中で、いつしか日本映画界にとって欠かせない存在に。歯に衣着せぬ物言いと周囲への細やかな心遣い、あふれ出るユーモアで日本中から愛された彼女の、多忙な中でも大切にしていた、日々の暮らしぶりなどが映し出される。

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LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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