中国外務省は共同通信の書面質問に対し、6月下旬に中国国内でもギョーザ中毒事件が発生していたことを認めた。中毒の原因とされる有機リン系殺虫剤メタミドホスは、日本で混入した疑いが強いとする中国側の従来の主張を大きく転換する内容だった。
回答では「中国政府は事件を極めて重要視している。公安局が全力を挙げて捜査している」と表明するなど態度を一変。ようやく生産過程での混入捜査に本腰を入れそうな気配だ。
ところが、いちばん騒いでいいはずの中国のネットユーザーがおとなしすぎる。中国国内のウェブサイトに関連する書き込みは全くなし。北京五輪開幕直前のため国内報道はギョーザ事件について一切扱わなかったが、ウェブ上では日常的に海外のニュースに触れることができる。事件当初には日中双方のネットユーザーが責任の所在などをめぐって口汚く罵り合った経緯があり、何らかの反応があって当たり前。中国政府による強力なネット統制などが背景にあるとの指摘も。いずれにせよ、ブキミな沈黙といえそうだ。
一方、親中派でしられる福田康夫首相もまたおとなしい。中国側はこうした事実を7月の北海道洞爺湖サミット前には日本政府に連絡していたことが判明。ことは食の安全にかかわる重大事にもかかわらず、政府は公表を避けていた。昨6日の読売新聞のスクープまで事実が明かされなかったため、民主党は「政府が意図的に隠ぺいしていたのではないか」と追及を始めている。
民主党の小沢一郎代表は6日の大阪市での記者会見で、毒ギョーザ事件の新展開について「日本の国、国民の視点から政治行政が行われていない。日中は日米と同様に大事な関係だが、言うべきことはきちんと言わなければ国民の利益は守っていけない」と述べ、政府の対応を批判した。
ところが、町村信孝官房長官は6日の記者会見で「関心のあるテーマであり、(首脳会談で)当然触れることになる。早く事実解明をする必要があり、日中でさらに協力しようということになるのではないか」とのほほんとしたもの。認識の甘さが際立った。