これは、ほぼすべての会見がネット中継されているためで、会見者と同時に「記者のレベル」も厳しく監視されるようになった。それによって、あまりにも本筋と掛け離れた質問が批判され、炎上するようになったのだ。
今回は、そんな記者会見で炎上した「記者の質問」を振り返ってみる。
・日本大学アメフト部元監督・コーチの記者会見
日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で、前監督の内田正人氏と井上奨コーチが説明のため記者会見を開いた。
その席で、記者たちは同じような質問を延々と繰り返し、いたずらに時間だけが過ぎていく展開に。これにしびれを切らしたのが、司会を務めていた元共同通信社論説委員長で日本大学広報部の米倉久邦氏。
「同じ質問が繰り返されている」として質疑応答を打ち切ろうとすると、記者は言うことを聞かずに、「なぜ打ち切るのか」とゴネる。米倉氏は「これだけ聞いたら十分です」とコメントするが、記者は納得せず口論を始め、「司会者の発言で日大のブランドが落ちてしまうかもしれませんよ」と脅迫とも思える発言を行う。
米倉氏は「落ちません」と断言したが、記者は失笑。そして会見後、各メディアは自分の質問を蔑ろにした形にした米倉氏をバッシングし、監督・コーチも厳しい論調で攻撃した。
ネットユーザーからは、米倉氏の対応はまずいとしながらも、同じ質問ばかりを繰り返し、社名と名前の発表会の様相を呈した記者たちにも批判が。ただし、記者たちはその事実を認識していないようで、批判に耳を貸した様子はなかった。
・吉田沙保里の引退会見でLGBTの質問
吉田沙保里の現役引退記者会見で、「ゲイレポーター」を名乗る人物が、突然プロレスラーが性同一性障害であることを公表したなどと話し、「日本のLGBTについてどうお考えなのかと、ご結婚の予定はありますでしょうか」と質問を浴びせた。
この質問は、吉田沙保里の現役引退とは全く関係がないことは明白で、「自身の主張を発信しただけなのではないか」と批判が殺到する。
さらに、「結婚の予定は」という質問も、「女性を下に見ている」「吉田沙保里をバカにしている」と批判され炎上状態となった。
・宮迫博之の謝罪会見で「色の質問」
闇営業で反社会的勢力のパーティーに参加し、契約解除(後に撤回)された宮迫博之と田村亮の謝罪会見で、神妙な顔で謝罪する宮迫に対し、『アッコにおまかせ!』(TBS系)の記者が、「宮迫さんの不倫報道があった時、オフホワイトですというお答えをしていましたが、今のお気持ちを色で表すことは可能ですか」と、質問をぶつけた。
真面目な席での「ネタ要求」に宮迫は回答を断ったのだが、この質問者に批判が集中。『アッコにおまかせ!』に抗議の電話が殺到する。
事態を重く見た番組は、生放送で謝罪。和田アキ子はこの記者を「ふざけんな、ホントに」と猛烈に批判し、責任は自分にあるとして、「本当に申し訳ございませんでした」と頭を下げた。和田の行動については称賛が集まったが、当該記者が表に出て謝罪することはなかった。
記者の質問があまりにもレベルが低いため、「記者会見は必要ない」「ネットの動画ライブで十分なのではないか」との声がある。これだけ炎上が続く中で、今後も記者が的はずれな質問や高慢な態度を取り続ければ、「廃止」の方向に傾くこともありうるだろう。