あらゆる細胞に張り巡らされている毛細血管には小さな穴が開いており、適度に漏れることで周囲の細胞に酸素や栄養を届けることができる。
しかし、加齢などが原因で過度に血液が漏れやすくなったり、脂質異常で血流が悪くなって血液が届かなくなることがあるという。
「その状態が続くと、毛細血管が消滅してしまう。この状態を“ゴースト血管”と言います」(同)
毛細血管は40歳代から減りやすくなり、60歳代では4割前後も減ってしまうそうだ。そこに、高血圧や高血糖、脂質異常などが重なると、ゴースト血管化をさらに加速させてしまう。
毛細血管がなくなってしまうと、その先にある細胞に酸素や栄養が届かない。それが皮膚に近い場所で起こると肌のシミやしわの原因になり、頭皮近辺で起こると薄毛や白髪の原因になるというのだ。
「酸素や栄養が届かないと、高血圧になりやすくなり、動脈硬化を進行させることにもつながり、心筋梗塞や脳卒中のリスクも増えてしまいます」(同)
ゴースト血管が増えると、白血球も行き届かなくなり、免疫力が落ちて風邪などもひきやすくなる。さらに、このような状態が長く続くと、認知症や骨粗鬆症のリスクも増し、エネルギーが消費されにくくなるため、糖尿病のリスクも高まる。
予防策はあるのか。
「脂質異常にならないよう、食事のバランスに気を付けることです。適度な運動はもちろん、規則正しい生活や質の高い睡眠も必要です。“血管力”は老後の人生を左右する鍵ですよ」(同)
今からでも遅くはない。血管力を高める生活を心がけよう。