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名医・博士の健康術 ★今週のテーマ「夏の旬食材_オクラ」

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提供:週刊実話

 オクラを水に浸けた「オクラ水」を飲むだけで動脈硬化、高血圧、高血糖、めまい…の改善に効果あり!

 オクラは安価でアレルギーを起こしにくく、安全性が高いことから、注目を集めているネバネバ野菜である。血糖値や脂質異常症の改善、狭心症の予防などの効果があるが、市橋クリニック院長で整形外科医の市橋研一先生が食事指導治療に取り入れている「オクラ水」は、さまざまな健康効果をもたらすことからテレビや健康雑誌でも取り上げられ、注目が高まっている。

 市橋先生は、食事指導を治療の主軸に据えている。これは、整形外科では珍しいケースだという。

 その理由を聞いた。
「中国の食養生(食事で健康を維持する考え方)を学んだことで、食事の大切さを痛感しました。整形外科では今まで、体のバランスが崩れることで慢性的な痛みが生じると考えられてきました。しかし、食養生を学んでからは、血流が悪くなると関節などに痛みが生じるのではないかと考えるようになりました。実際に患者さんの血流を調べたところ、腰や膝に痛みを訴える人のほとんどが、毛細血管の血流が悪いといった原因で動脈硬化を起こしていました。そこで、食事療法を軸に、鍼治療を組み合わせた血流改善に取り組んだところ、多くの患者さんの症状に改善の傾向がみられたのです」

 そして、市橋先生がほぼすべての患者に勧めているのが、中国の食養生の先生から習得した「オクラ水」である。腰や膝の痛みの改善だけでなく、血圧や血糖値、血中コレステロール値が下がったほか、手足の痙攣やめまい、頭痛、アトピーまで改善する人も現れている。
「私自身もオクラ水を飲み続けていますが、71・5㎏あった体重は67㎏になり、足のむくみに対する効果も高いことから、サイズが26・5㎝から25㎝になりました。娘からは、体臭が消えたとも言われます。当院では、薬よりもまずオクラ水を勧めています。多くの人に効果が現れているので、今では、やめたときの反動が大きい血流改善の薬を使う機会も減っています」(市橋先生)

 また、オクラ水は、膝に水(関節液)がたまる関節水腫にも効果がある。関節水腫とは、膝のまわりの静脈に老廃物が詰まって血流が悪くなり、古い水が排出されなくなって膝に水がたまる症状を起こす。オクラ水や食事指導で血流を改善することで、水が自然に抜けていくという。

★血流が劇的に改善する

 オクラ水を飲むことで血流が改善されることは、各種調査によっても明らかにされている。例えば、脈派の伝播速度で動脈硬化の度合いを測る「PWV検査」では、オクラ水を飲んでいない人たちには変化がなかったのに対し、オクラ水を飲んでいる人は血管がやわらかいという結果が出ている。

 この調査では服薬状況が加味されていないので、純粋にオクラ水だけの効果を証明しているわけではない。しかし、オクラ水の摂取習慣は、血圧や動脈硬化の改善によい影響を与えているのだ。

 それでは、なぜオクラ水は血流の改善を促しているのだろうか? オクラのネバネバ成分の影響が大きいともいわれるが、市橋先生によると、それだけではないと言う。
「オクラ水はヘタをカットして水に浸けますが、これだと、オクラを刻んだときほどネバネバにはなりません。だからといってオクラの栄養が失われたわけではなく、オクラ水を飲むときちんと効果が現れます。これは、血液をサラサラにする作用がある玉ねぎを切ったときに出る揮発性(常温で液体が気体になること)の成分がオクラにもあって、水に溶け出たのではないかと考えています」

 そのため、オクラ水を作るときには揮発性成分の蒸発を防ぐため、オクラを浸けたあとはラップもしくはふたで密閉して一晩寝かせておく必要がある。また、オクラを水に浸けるときは、ヘタの切り口が下向きになるようにするのがよい。

 ちなみに、オクラのネバネバ成分には水溶性食物繊維が含まれていて、整腸や血糖値・血中コレステロール値を抑える効果がある。
「私は『八体質医』という8つのタイプに分類された体質によって、食べてよいもの、避けるべきものを指導する韓国の食事療法をベースに食事指導を行っていますが、この八体質医学においても、オクラはお勧めできる食材の1つです。家庭でも割と簡単に栽培できるし、初夏から秋にかけては、毎日のように収穫できるのも魅力です」(市橋先生)

 2010年以降、中国や東南アジア、アフリカ、ギリシャなど、亜熱帯地域を中心にオクラの研究が進んでおり、その効能が注目されている。そういう意味でも、オクラ水は動脈硬化の“特効薬”といえる。

★朝食の前後に飲むのが理想

 オクラ水は、ヘタを包丁で切り除いた5本程度のオクラを、ふた付きのビンかグラスに下向きになるように入れ、オクラが浸かるぐらいまで水を注いで作る。ふたやラップで密閉して冷蔵庫に入れ、8〜12時間ほど置いてから、オクラを取り出して飲む。人肌程度の温度までであればお湯を足してもよいが、冷凍と加熱はNGだという。

 「食養生の先生からオクラ水を教わったとき、『冷凍と加熱は厳禁』と言われました。オクラのネバネバ成分に含まれる水溶性食物繊維は、冷凍しても加熱してもそれほど影響がないので、オクラ水には、冷凍や加熱をすると摂取できなくなる成分が含まれているのではないかと私は考えています」(市橋先生)

 飲みにくいときは、出汁や黒酢、メイプルシロップ、オリゴ糖などを加えてもよい。農薬が気になる人はオクラをよく洗うか、ヘタを切る前に30分ほど水に浸けておくとよい。毎日、朝食の前後にコップ1〜2杯飲むのが理想だ。

 ちなみに、オクラ水を飲む前に取り出したオクラの本体は料理に使うことができるので、無駄にはならない。水に浸けたあとのオクラにもネバネバ成分がたっぷり含まれているので、刻んで和え物やカレー、オムレツなどに活用したい。

 今の時期、旬の食材であるオクラは手軽に手に入るし、安価で、財布にやさしいのもうれしい。痛みや病気を予防・改善するため、この夏は積極的にオクラ水を活用してみよう。

◉オクラ水の作り方
【材料】
*オクラ/5本 *水/100〜180
【作り方】
(1)オクラのヘタを包丁で切り、取り除く。
(2)ふた付きのびんかグラスに、(1)のオクラの切った部分が下向きになるように入れ、オクラが浸かる程度まで水を注ぐ。
(3)ふた、またはラップでグラスを密閉し、冷蔵庫で8〜12時間ほど置いたのち、オクラを取り出して飲む。

ポイント
・ふた、またはラップをして密閉し、そのまま冷蔵庫へ。
・一晩寝かせたら、オクラを取り出して飲む。

◉取り出したオクラ水の簡単な食し方
【オクラカレー】
取り出したオクラを、白米を盛ったカレー皿にのせ、オクラにかけるようにカレールーを盛りつければ完成。オクラは温めず、そのままいただくのがポイント。レトルトカレーを使えばお手軽だ。

【オクラのさっぱり冷副菜】
取り出したオクラを、食べやすい大きさに包丁で切って器に入れ、その上に細切りにしたみょうが、鰹節をのせて醤油をたらせば完成。軽く混ぜるだけでネバネバが増し、酒のつまみにもなる。

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監修/一橋健一
市橋クリニック院長。日本整形外科学会専門医。医学博士。食事療法をベースにひざ軟骨再生療法など、独自の治療法で成果を挙げている。監修書に『血圧を下げる! 名医のワザ』(宝島社)があるほか、健康雑誌等にも度々登場。

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