「懸賞金の分配はきわめて難しい。逮捕の最有力情報は、来院を通報した名古屋市内の医院。鼻をさらに高くする2度目の手術を10月24日に受けたところだ。さらに、大阪潜伏中に住み込みで働いていた茨木市の建設会社の従業員、決定打の通報をしたフェリー会社の社員が候補になる。千葉県警がこの3者で情報の貢献度合いを考慮して、比率分配するしかない」(全国紙社会部記者)
同容疑者のクビには2007年6月から警察庁が懸賞金をかけていた。警察庁が同年5月に導入した公費懸賞金制度に基づくもので、逮捕の足がかりがつかめなかった今年6月、上限の1000万円まで金額を引き上げた。
トータル2年7カ月の逃亡生活を続けた市橋容疑者は、懸賞金が1000万円になってからわずか半年でジ・エンド。懸賞金目当ての通報だけだったわけではないにせよ、同制度の運用を考えると世間が納得する分配をしなければならない。指定事件36件中、警察庁としては同制度を適用した初の懸賞金支払い事例となるからだ。
手続きとしては、指名手配した千葉県警が逮捕に結びついた有力情報を精査し、警察庁に申請、同庁が最終ジャッジを下す。複数の情報提供者で懸賞金を分配することにはなんら問題はない。「社会的影響の強い事件だから、おそらく満額支払いとなるのではないか」(前出の記者)という。
市橋容疑者は、県警行徳署捜査本部の調べに「何も言うことはありません」と供述していることが11日、県警への取材で判明。捜査本部は市橋容疑者がリンゼイさんの死亡についても事情を知っているとみて本格的な取り調べを始めた。
捜査本部によると、市橋容疑者は大阪府警住之江署での逮捕時、容疑を伝えると無言でうなずいたが、「弁解することは何もありません。何も話したくありません」と供述している。
市橋容疑者は住之江署から行徳署までの移送の間はほとんど無言で、行徳署では、逮捕容疑についてあらためて「何も言うことはありません」と供述。取調官の質問にうなずくだけで、疲労している様子だったという。
大阪府警によると、住之江区のフェリー乗り場で市橋容疑者に似た男がいると10日午後6時44分、110番があり、警察官が駆け付け身柄を確保。市橋容疑者は沖縄行きの乗り場のベンチに座っており、警察官の職務質問に「市橋です」と認めた。住之江署内で午後8時17分、逮捕した。
フェリー会社によると、市橋容疑者は10日午後、神戸から沖縄行きのフェリー乗船を申し込んだが、出港日ではなかったため、大阪から別の船に乗ろうとして発見された。通報したフェリー会社社員のお手柄だが、ニット帽にサングラスをかけていた市橋容疑者は待合室で浮いており、周囲の疑念を集めていたという。