「ほかの場所を探そうにも、アキバ以外に居場所がない。ホコ天が再開されるのをいつまででも待つつもりです。ヨソに行って“迫害”されるよりマシでしょう?」と力なく答えるのは、コスプレ歴2年の20代男性。事件前はコスプレ仲間と毎週日曜、ホコ天が始まる午後イチから出撃していたが、いまは携帯メールで連絡を取りながら夕方近くにおちあっているという。
仲間の男性は「ゲーセンで待ち合わせることが多くなり、無駄な出費が増えましたね。街中は警察官が多いし、道端に座り込むわけにもいかない。不健康な休日の過ごし方をしていますよ」と自嘲ぎみに話した。
都内でホコ天を実施しているのは、新宿と銀座の2カ所。20代の女性コスプレイヤーは「どっちも無理。そんなところでコスプレしても白い目で見られるだけ」と移動する気はない。
ならば、“西のヲタクの聖地”といわれアニメや特撮モノを扱うショップが集積する中野ブロードウエイや、腐女子が集まる乙女ロードを抱える池袋はどうか?
女性コスプレイヤーは「たまに行くけどアキバの代わりにはならない」。前出の男性コスプレイヤーは「アニメショップがあればいい、という単純な話じゃない。買い物するぐらいしかできないでしょ?」と、あきれた表情で吐き捨てた。
どうやら、“民族大移動”は難しそうな気配である。
(写真=事件当日、封鎖される中央通り。この日からアキバのホコ天は消えた)