野手としては、開幕から1軍に帯同している大谷だが、投手としてはまだ2軍扱い。初陣の舞台は4月11日、千葉・QVCマリンフィールドでのイースタンリーグ公式戦の千葉ロッテ戦。
この試合で先発した大谷は初回から失点を許すなど、ピリッとせず、4回69球を投げ、5安打3四球2奪三振3失点で負け投手となった。最速152キロをマークしたものの、制球は定まらず、ホロ苦い投手デビューとなった。
前日の10日は、1軍の東京ドームでの楽天戦でベンチ入り。この日は朝6時起床とあって、寝不足で疲れを取る時間もなかったようだ。体はナイターに慣れており、自身も「ちょっと(体が)起きていなかった」とコメントした。
次回登板は20日、イースタンリーグ・チャレンジマッチでのフューチャーズ戦(鎌ヶ谷)とみられている。同日、1軍は同時間帯に札幌ドームでの西武戦があるため、1軍の試合を欠場して、2軍戦に臨むことになる。
大谷は二刀流を貫く以上、投手として、1軍に昇格するまでは、今後も1、2軍を行き来するハードスケジュールをこなさなければならない。
ところで、11日のロッテ戦だが、当初はロッテ2軍の本拠地である浦和球場で開催される予定だった。だが、ロッテ球団は大谷の先発で多数の来場が予想され、収容人員400人の浦和球場では混乱が起きると判断。「警備上の問題を考慮して」として、2日前の9日に試合会場を1軍本拠地のQVCマリンに変更した。
むろん、警備上の理由もあるだろうが、会場を変更したのは、それだけではないようだ。基本、浦和球場での試合は入場無料だが、QVCマリンでは大人1000円の入場料を取っている。
案の定、11日の2軍戦は平日の午前11時開始という悪条件ながら、2587人(主催者発表)の観衆が詰めかけた。9日に同所で行われた同一カード(2軍戦)の観客数は877人(同)で、ほぼ3倍増。
浦和球場での開催のままなら、どんなに観客が集まっても入場料収入はゼロだったが、QVCマリンに変更したことで、ロッテはちゃっかり258万7000円(推定)の入場料収入を得たことになる。1軍戦なら大した金額ではないが、2軍戦でこの収入は、球団運営上大きい。
大谷の次の登板は本拠地の鎌ヶ谷だが、イースタンリーグに属する他の球団としては、各球団の本拠地で登板してもらって、入場料収入アップに貢献してほしいと願うばかり。そのためには、投手・大谷に2軍のままでいてほしいというのが、ホンネだろう。
(落合一郎)