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高齢者だけではない 故・大瀧詠一さんを襲った「喉の詰まり」と「解離性動脈瘤」の因果関係(1)

 昨年12月30日に、伝説のバンド『はっぴいえんど』の元メンバーでミュージシャンの大瀧詠一さん(享年65)が急逝した。リンゴを喉に詰まらせて倒れ、救急搬送されたが亡くなった。死因は解離性動脈瘤だった。
 今回、大瀧さんの命を奪った解離性動脈瘤そのものも怖い病気だが、同時に死に至る発端となった喉に物が詰まる窒息状態も、一歩間違えれば死に繋がってしまう。大瀧さんの死を招いた二つの病気は、誰にでも起こりうるもので、他人事と言って見過ごせない深刻なもの。

 大瀧さんの家族や搬送した救急隊員の話によれば、家族と一緒にリンゴを食べていたところ急に苦しみだし床に倒れ、すでに心肺が停止で即死状態だったという。
 つまり、当初はリンゴを喉に詰まらせたことが要因と思われていたが、実際には解離性動脈瘤が原因だったのだ。

 「喉の詰まり」と「動脈解離」の因果関係がクローズアップされるわけだが、この点について、都内で総合医療クリニックを開く医学博士・内浦尚之院長はこう解説する。
 「詳しい事はわからないので断定的な事は言えませんが、死因が解離性動脈瘤とすると、固形の異物が、心臓から腹部にかけ3層の膜に覆われている大動脈の外膜を突き破り、血液が血管外へ飛び出した時に起こる“血性ショック”で即死状態に陥った。そんな見方ができると思われます。もちろん、こうした状況を招く要因は動脈硬化によって中膜が危うくなっていたことや、高血圧も引き金になることが考えられます」

 いずれにしても、解離性動脈瘤は大動脈が縦に裂けることをいうが、前述の通り、何かの原因によって中膜に亀裂が入ってしまうと、そこから血管内に血液が流れ込み、その圧力で血管が縦に裂け胸部か腹部に激痛が走る。この現象を「血管の解離」といい、解離した部分に膨らみ(別名=血豆)ができて血管の破裂の危険性が高まる。破裂すれば、血性ショック状態で即死となるという。
 この病で、作家の立松和平氏(享年62)、囲碁の坂田栄男(享年90)は帰らぬ人となり、加藤茶(70)は生死の境をさまよった。
 「生死を分けたのは、血管の大きさと部位の違いだと思います。血管が裂けた部位が大きければ大きいほど危険性が高いことは言うまでもありません。また、心臓に近い部分での出血は血圧が高くなるので、危険性が高まります」(前出・内浦院長)

 一方、喉の詰まりによる窒息も他人事として片づけてはダメ。特に中高年者は要注意だ。
 厚労省によると、窒息による不慮の死を遂げた人は'12年度で1万人を突破している。このうち半数は、食べ物を喉に詰まらせたケースだ。しかし、事故内容を見ると驚く。「年寄りだけが起こす」「餅が一番危ない」と思われていたものが、大間違いだったことに気づかされる。東京消防庁によると、2年前の'12年に都内で食品などを喉に詰まらせて救急搬送された人は3239人。うち50代が130人、40代が134人、30代も115人。年老いた人だけの事故ではないことがはっきりわかる。

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