集会は「保坂展人と元気印の会」及び「たがやせ世田谷区民の会」の主催で、会場は世田谷区成城の砧区民会館・成城ホールである。収容キャパシティ400人の会場で立ち見が出るほどの参加者が集まった。
保坂区長からは区長就任2か月間の報告と新しい世田谷区政への抱負が語られた。世田谷区は区独自の放射線量測定を早期に打ち出したものの、測定器の到着が遅れていると説明した。大気の測定だけでなく、プールの測定や学校給食の産地表示も検討中とする。区立小中学校の学校給食は太子堂調理場で調理する学校と、自校で調理する学校に分かれる。そのための産地表示も複雑になるが、給食便りへの記載を考えている。牛乳については区内の学校は一括で購入しているため、検査する予定とした。
東京電力に対しては節電に対応するために区内の電力使用量のデータ開示を要請中である。東京電力は23区全体の前日分のデータ開示は可能と回答したが、当日のデータ公開を引き続き求める。リアルタイムのデータ開示により、過度の自粛を避けられる上、区民に警報を流して需要を抑制する効果も期待できるとする。
会場からの質問では二子玉川再開発や下北沢の道路建設、京王線の高架化、外環道など大型開発の見直しを求める声が目立った。保坂区長は住民参加の街づくりになるような方策を考えていると応じた。ユニークな質問として「電気の購入先を他の電力会社に変更できないか」というものがあった。
この問題意識には保坂区長の立候補時の推薦人である社会学者の宮台真司氏が応じた。宮台氏はエネルギー政策の転換はエネルギー政策の転換は共同体自治の問題であって、電源の種類の問題ではないと強調した。官僚も太陽光発電など自然エネルギーを供給する独占企業や天下り法人を作ることを考えているだろう。そのような上からの統制ではなく、消費者が電力会社や発電所、発電方式を選択できるようにすることが必要である。世田谷で電力会社を立ち上げるようなことがあっていいと述べた。
この提言に保坂区長は「世田谷電力ができると面白い」と応じた。新しい仕組みを待っているのではなく、区民各々が様々な形で行動することを期待した。また、人口80万人の世田谷区は電力の消費地であるが、ソーラーパネルを乗せられる屋根の数は多いとして、発電地帯としての可能性をアピールした。
(林田力)