それがUSAの黒人だ。なぜ、USAなのか。麻薬取締部のOBが語る。
「それは彼らが合法的に入国し、堅気の商売をしているからです。イラン人やナイジェリア人は不法滞在者も多く、金を渡してもそのままトンズラしてしまう恐れもある」
数年前まで六本木を仕切っていたのはイラン人だった。ボスは軍隊上がりの武闘派。力で闇社会を支配していた。
しかし、あまりにも突出していたため、闇社会のバランスが崩れることを危惧した日本人ヤクザの手によって排除されたという。次にボスになったイラン人は穏健派だったが、密売の味をしめ本国の仲間に送金すべき金を着服して追われる身に。そして、行方をくらましてしまったという。
武闘派でなくとも、イラン人は荒っぽい。それだけ生活がかかっているからだ。
「ここはオレのシマだ。商売するな」
「いや、オレの方が先だ」
利権をめぐって対立し、一気に抗争に発展するケースもある。血を流す場合はたいてい互いに薬物をやっている。
「売人は当然、味をみる。そうでなければブツの良し悪しが分からないからです。しかし、不幸にしてクスリをやった後、出会い頭に敵対する勢力と遭遇すると血を流すことになる。薬物のせいで自分をコントロールできなくなるからです」(前出のOB)
違法薬物の利用者で多いのは外国人のダンサーだ。彼女たちは10万円もの日銭を稼ぐ。常に現金を持ち歩き、好きな時にブツが買える。エクスタシー(MDMA)で乗りやすくなり、踊りも一段とセクシーになるのだ。
売人は客の顔を見てブツを売る。
「純度の高いブツは日本人の素人には売りませんね。彼らには粗悪品を売りつけ、本当に味の分かる連中にだけ、いいブツを渡す」(OB)。一時期、新宿で水で薄めたシンナーやトルエンを売っていた光景とよく似ているという。
一方、こんな商売もある。路上でナンパに成功したと思った若い女性と飲みにいく。女はあらかじめ契約していた店に男を案内し、セックスやドラッグはどうかと盛んにモーションをかける。交渉が成立すると、料金は前払い。しかし、いつまでたっても女は知らん顔。男が痺れを切らして文句を言おうものなら、従業員が出てきて仲裁に入ったように見せる。それでもゴネたら携帯を取り上げられ、外につまみだされるのだ。
(写真=イメージ)