桜花賞は正直いってウオッカに死角はない。
主戦・四位騎手をして「こんな牝馬、知らん。見たことないわ」。チューリップ賞後に発せられたものだが、これがあのダンスパートナー(エ女王杯、オークスなど)に跨っていた人間の発言であることを忘れてはならない。菊花賞でも1番人気(5着)を集めたほどの女傑でさえ比較対象外なのだ。
また、角居師にしても「現時点ではシーザリオ以上」と明言。器の大きさはまったくもって計り知れないし、枠順抽選後に「良かった。ごちゃつくのが嫌だったんで、外めの枠がほしかった」とは村山助手だ。最後の最後に運まで味方にしてしまったのだから、もう手のつけようがないだろう。
さあ、馬券。ウオッカの1頭軸マルチでは、点数が多くなって“ガミ”となる危険が大いにある。ここは2頭軸で攻めるのが得策だ。3強の中からもう1頭?否、橋口ブランドの底力(12)カノヤザクラを“2頭目”欄にマークする。
メンバー表を眺めつつ、橋口師が口にしたのは「3強といわれる3頭が1、2、3着を占めることはまずない。ましてやこの時期の牝馬。(フケなど)どんなことが起こってもおかしくない」。3強崩しどころか、密かに打倒・ウオッカを目論んでいるかのごとき口調だ。
ここまでで崩れたのはファンタジーS→フェアリーSの2戦だが、「長距離輸送で馬がパニックになった」(同師)というフェアリーSは完全度外視。Aマーチャンとの比較という意味で、ファンタジーSに注目したい。
“スタイル”でない後方待機策を取り、また、それにより外々を回る大きなロス。同師も「控えすぎやったな」というように、競馬をしていない。いずれにせよ、ベストパフォーマンスを演じたマーチャンにはかなわなかったかもしれないが、1秒1ほどの力差はなかった。6着といえど、2着イクスキューズとは0秒3差。スムーズであったなら、実質、コンマ数秒差の2着だったと本特捜班はみている。
牡馬を相手に2着好走した前走・ファルコンSと同じく、「今回も馬場入り後にジョッキーを乗せる。前回はメンコの効果もあったかな」。同馬の好走ポイントが明らかになりつつある今、ファンタジーS時より高度な走りができることはいうまでもないし、逆にマーチャンは残り2強を意識しながらの競馬を要求される。今回の3連単的中への布石、3強崩しの手はずは整ったのだ。
初のマイル戦だが、そもそも掛かるタイプでない同馬。コース改良により“魔の桜花賞ペース”も影を潜めるであろう今年の桜花賞なら、前々でゆったりと運ぶことができれば、さほど心配する必要ななさそう。高松宮記念(2着)であっといわせたペールギュントと同じく、橋口&上村の強力タッグがまたもや台風の目となりそうだ。