判決で高山裁判長は「教え子と同じ年頃の女児への犯行で、強い非難に値する。犯行を否認するなど反省の態度は見受けられない」と述べた。一方、「30年近く教職に就き、保護者らの信頼が厚いことなどは被告に有利な事情と言える」として、求刑より刑を大幅に軽くした。
花野被告は、11年8月10日午後9時25分頃、草津町の温泉旅館の男子浴場の脱衣所で、千葉県鎌ケ谷市の当時7歳の女児の下着を手で引き下げたとして、同年11月21日までに逮捕された。女児は父親や妹と一緒に男湯に入浴後、父親より先に妹と浴室から出たところだった。
弁護側は「女児の体に止まっていたアブを払っただけで、下着を脱がせていない」と、無罪を主張していた。
公判で争点となったのは、女児の証言の信用性だった。高山裁判長は判決で、「女児の証言は明確で、反対尋問にも核心は揺らいでおらず、信用性は高い」と指摘。弁護側は「花野被告が犯人であるとの思い込みに基づいた、捜査機関の暗示や誘導への女児の迎合が表れている」として、「女児の証言は到底信用できない」と主張していた。
女児の履いていた下着をDNA鑑定した結果、花野被告のDNA型は検出されていないが、判決では「パンツに手を触れたのはごく短時間で、DNA型が付着しない可能性は十分に考えられる」としている。
唯一の直接証拠が当時7歳の幼い女児の証言だけとあって、今後も極めてむずかしい裁判となりそうだ。
(蔵元英二)