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キャバ嬢が生まれる瞬間(21)〜病気が怖くなりキャバ嬢になった女〜

 五十嵐ミキ(26歳・仮名)

 私には学歴も資格もない。高校を卒業してからは適当にアルバイトして、適当に男と付き合ったりしてずっとフラフラ生きてきた。そんな私だから25歳になって風俗で働きはじめたのも、ただお金がほしいだけで、リスクなんてなにも考えていなかった。

 私が働いてた風俗はファッションヘルス。週に4日、様々な男達の相手をしていたんだけど、半年くらいたったある日、性器にイボがあるのを発見した。そのまま病院へ行くと、尖圭コンジローマと診断された。聞いたことあるような、ないような名前。正直、私は性病を舐めていたんだよね。幸い今まで一度も性病にはかかったことがなく、知識も浅い。だから薬さえ飲めば簡単に治るんじゃないかって思ってた。もし私が性病になっても現在の医学ならなんとでもなるだろうと。

 でも現実は違ったんだよね。病院では医者が組織を見なければいけないという理由で、麻酔なしでイボを切り取られて激痛に泣いた。その日は1日出血が止まらなかったし、なにをしてても痛みを伴ったよ。

 それからも-190℃くらいの液体窒素で何度も焼かれ、治療する日々。こんなに苦しい思いを繰り返しても、イボは定期的に出てくる。医者から一生付き合う感染症の一つだと聞かされた時は絶望したよ。風俗で働いたことを本当に後悔した。あと妊娠したら、最悪の場合は母子感染があるから帝王切開もしなくちゃいけないらしい。

 だから私は性的接触がないキャバクラで働き始めたんだよね。毎日、性器を愛撫する風俗と、会話がメインのキャバクラじゃ、夜の世界の仕事でも全然違う。感染するかもと日々怯えて仕事をするよりも、安心して働けるキャバクラは精神的な負担も違うし。

 もちろんキャバクラは肉体のテクニックで客を魅了できる風俗とは指名を取る方法論が違うけど、私なりに一生懸命会話してがんばっていきたいかな。またコンジローマはいつ発症するかわからないけど、なるべく健康を心がけて、免疫力を高めて生活していきたいね。

(取材/構成・篠田エレナ)

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