実家が裕福なため、アルバイトをしたことがまったくないちぇきと、アルバイト経験は3ケタにとどくほどの数あれど、長続きしたことのないアサノ。まったくもって、接客業に向いていない二人が今回、お世話になるのは秋葉原にある鉄道居酒屋「LittleTGV」。鉄道をモチーフにした萌える居酒屋として話題のお店だ。もちろん、店員(乗務員)もしっかりと鉄道コスプレで接客。店内はマニアにはたまらない品々が並んでいる。ちなみに、代々木姉妹に鉄道の話を聞いてみると、アサノは、「え〜と、総武線」、ちぇきは、「あ〜京成線」と一言。まったく自信がなさそうだ。ただ、同店の乗務員としてもっとも必要なことは、鉄道の知識以上に興味を持っていることが大事だという。ここはぜひ、興味を持って頑張ってもらいたい。
まず、ふたりには、ベテラン乗務員のせぇらさんに接客の方法を教えてもらうことに。ちなみに彼女が好きなのは丸の内線とのこと。鉄道居酒屋なので、もちろん、普通の居酒屋とは違い、あいさつの方法は独特。お客さんが入ってきたら、「いらっしゃいませ ご乗車ありがとうございます」、退店するときは、「ご乗車ありがとうございました。またのご乗車をお待ちしております」という感じ。さらに難関なのが、メニューの名前。生ビールは「札幌市電雪10形ササラ電車」、モスコミュールは「つくばエクスプレス」、ジントニックは「日比谷線」とかなり特殊。アサノはメニュー名を覚えられないのか、覚えるつもりもないのか、生ビールの注文を受けた際、「はい、サッポロですね」と店員のルールというか、店の存在意義さえをも無視したオーダーの受け方をしている。彼女の神経の図太さは、尊敬に値する。そんな中、ちぇきはさっそく外へ飛び出し、得意のビラ配り。ミッションで何度もビラ配りを担当している彼女の技術は、すでにベテランの領域だ。
さらに、このお店の雰囲気に少し慣れてきてからは、ひと手間、加える特別メニューに挑戦。ちぇきが挑戦したのは、「ガタゴトぽてとふらい」。これは、客さんのテーブルまでポテトを持っていき、お客さんと、「ガタゴト〜ガタゴト〜」と言い合うというサービスがつく。お客さんが「停止!」というまでは、「ガタゴト」を楽しく言いあう。アサノは、マヨネーズでお客様の似顔絵を描く「大阪とん平焼き」で得意の絵を披露。さすが、マンガが本職だけあって、絵は立派だ。
ミッションも終盤(このお店風に言うと、終点か?)にさしかかってくると、二人もベテラン乗務員。アサノは、お客さんがたまたま鉄道関係者(車掌)だったことを良いことに、「ドアが閉まります、駆け込み乗車はお止めください」と、本番さながらに実際言ってもらいテンションが上がりまくり。そして「関西の方はわざとバッグ挟んで電車止める人が多いらしい」
という嘘かホントかわからない情報まで仕入れた。一方、ちぇきはマニアなお客さんに情報収集。全国の駅弁に詳しいお客さんを接客し、お客さんから、北海道の厚岸駅の「かきめし」、富山県の氷見駅の「ぶりかまめし」が絶品との情報をゲット。お金持ちのちぇきのことだから、明日にでもお取り寄せ、もしくは現地まで調達に行くに違いない。
やがて、今回のミッションは終了。バイト慣れしているアサノは、体験入店の間に店内の席番まで覚えたらしい。そんなことを覚えるならば、二人のお笑いネタを完璧に覚えてもらいたいものだ。一方、過去にバイト経験がなく、そもそもバイトなんかしたくないと公言するちぇきは、わずか2時間で腰痛に見舞われる。ただの運動不足としか思えないのだが。そんな二人は、「足が棒になった…」と語りながら、山手線に乗って秋葉原を後にした。
■代々木姉妹
アサノ光とちぇきの女の子二人からなる“マンガ家ユニット”。身体を張ったネタ活(体験取材)で巷を賑わす。そのネタ活は様々で、マンガやブログでは描かない、描けない、描いちゃいけないことも体験する。
○ブログ
「代々木帝國」http://ameblo.jp/yoyogi-sis/
○マンガ・コラム連載
・『漫画パチンコ777』毎月4日発売(竹書房)
・『スーパーパチスロ777』毎月19日発売(竹書房)
・『本当にあった笑える話 Pinky』毎月21日発売(ぶんか社)
・『みこすり半劇場』毎月第2・第4木曜日発売(ぶんか社)