「16日にこちらに移動したんだけど、やっぱり水が合うんだね。日増しに馬がどんどん良くなっている」と谷中厩務員は柔和な笑みを浮かべた。前人未到の函館記念4連覇へ、過去のどの名馬も成し遂げていない同一重賞の4連覇へ、ベクトルは一気に上向きだ。
前走の金鯱賞は16着に大敗した。しかし、だからといって、今年は苦しいと決めつけられない。昨年もそうだった。前哨戦の巴賞をしんがりの11着に惨敗。屈けん炎から立ち直り、ようやくレースを使える状態だったこともあり、函館記念は7番人気の低評価だった。だが、結果は直線に入ると鋭い伸び。見事な3連覇だった。
今年も休み明けの金鯱賞を叩き台にするのは計算通り。「急仕上げだったからね。その後、少し疲れは出たけど、すぐ良くなってきた」。函館入厩後は20日にWコースで4F55秒3→40秒7→12秒5をマーク。栗東でも15-15を乗り込まれており、調教量は十分だ。
「もう今年で8歳。来年は函館開催がないし、これがラストチャンス。今のところ、衰えは感じないから、同一重賞4連覇への期待感は十分にある。函館の時計のかかる馬場は合うし、楽しみにしている」
セン馬だけにどれだけ実績を残しても種牡馬への道は閉ざされている。走り続けることだけが自己表現。今年から秋の天皇賞にもセン馬が出走OKになった。ここで限界は見せられない。
【最終追いVTR】Wコースの予定を雨のため急きょ、芝での追い切りへと変更したが、力強い動きを見せた。追い出してからもクビを下げて好気合。豪雨の中での追い切りだったが、最後までスムーズだった。