原作は洋泉社から2005年に発売されて以来、累計1万5000部を発行しているロングセラー。
「いやー、映画化されるなんてビックリ。原作は少しずつの文章が並んでいるだけなので、ちゃんとつながるのかどうか心配でした。でも、いい映画になったのでよかったです」
この本は“猫かわいがり”ではなく、あくまでも町にいる猫を見つけたらコッソリ尾行する“猫ストーカー”の日常を描写したエッセイだ。
「原作は猫と人の距離を意識して書いているので、映画も人と猫がベタベタしたものにして欲しくなかった。猫が不自然な感じは絶対イヤだと、そんなニュアンスをホンワカと伝えました。実際に映画を見たら、そこが一番大事にされてたのでうれしかったですね」
ただ、エッセイをそのまま映画にするわけにはいかないので、原作にないストーリーを新たに作り上げている。星野扮する主人公のハルはイラストレーターの卵で、普段は古書店でアルバイトをしている。寡黙な主人を徳井優、口うるさい奥さんを坂井真紀、同僚を江口のりこらが演じている。これらの設定に自身の経験が織り込まれているのは言うまでもない。
「古本屋でバイトしていたとき、いろんな人が来たんですよ。例えば、町でも有名な悪ガキのたけお君。店に来るたび、オカルト漫画の棚にある本のタイトルを“何て読むの?”って聞いてくる。私に怖い言葉を言わせることで快感を得ていたんですね(笑)」
星野が演じた猫ストーカーの演技は満点だったという。
「そう、その動きって感じでビックリ。猫に声をかけるタイミングもその通りなんですよ。でも、実際に好きなのは犬だそうですけど(笑)」