「還暦を迎えたことを記念して何か盛大にやろうと。ツアーは普段からやってるから新しいことに挑戦したいと思って」
無論キャンピングカーでのツアーは初めて。ドライバー、助手、撮影隊…スタッフが限りなく24時間一緒にいる旅だ。
「みんなで共に生活できたことが嬉しかったなぁ。ケンカすることも意外になくて…果たしていいのか悪いのか? 私が円熟したってわけじゃないよ。旅先で仲違いしちゃうと後々困るでしょ、それを心掛けただけ」
本作はドキュメンタリー映画監督の森達也が監修し、女性監督の竹藤佳世がメガホンを取った。
「映画化については私から森さんにリクエストしたんだ。記録映像としてキチンと残しておきたくてね。竹藤監督は以前の私をそれなりに知っていたけど、今回のツアーで印象が変わったみたい。初日のリハーサルに来て、飲まず食わずで何十時間も歌い続けている私の姿にビックリしてた。ツアー中の彼女は何か注文を付けるでもなく、さりげなく距離を置いて撮影していたよ。まあ、私が何をやるのか分からないから、撮り甲斐はあったと思うな(笑)」
長丁場のツアーだったが、辛いと思ったことは一度もなかったという。
「バランスを考えて日程を組んだし、温泉や宿も使ったから。それより毎日のように人と会い、話をし、歌を聴いてもらう、この一夜限りのゼイタク。何物にも代え難い。1日も休みがなきゃ辛いけど、2〜3日空けば今日も歌いたいと思ったほど。ツアーは続く、一生もんだよ」
(後編につづく)