落語ファンの間では知られた存在の春蝶であるが、落語から縁遠いネットユーザーの間でも大炎上となったのは、春蝶がツイッターで20日に投稿した次の発言だ。
春蝶は投稿で、日本国内の貧困問題に触れた。「世界中が憧れるこの日本で『貧困問題』などを曰う方々は余程強欲か、世の中にウケたいだけ。」と、日本で貧困問題が議論されていることに疑問を呈した。同じ投稿で「この国では、どうしたって生きていける。働けないなら生活保護もある。我が貧困を政府のせいにしてる暇があるなら、どうかまともな一歩を踏み出して欲しい。この国での貧困は絶対的に『自分のせい』なのだ。」と、貧困は国民一人一人の責任で生まれるもので、国家として救済する種のものではないとの持論を展開した。
以前からツイッターでネットニュースに対し悪態をついていた春蝶はこの後も「時代が悪いの、世の中がおかしいと言ったところで仕方ない。だからでこそ、どんな時でも、人間は誰でもやればできる」「芸人風情でも何とかやっていける日本は素晴らしい。これ以上この国に何を望みますか?」などと、国家を賞賛しつつ貧困者をあおるツイートを連発した。
これらのツイートにネットユーザーは呆れ、「言い方が極端すぎる」「貧困者を貶(おとし)めているんですか?」「さすがにこれは、時代遅れの認識」などと批判。中には日本で起こった餓死事件をまとめたサイトを紹介し、春蝶の認識を否定するユーザーもいた。
一口に「貧困」と言っても、「夫不在の母子家庭」「介護のため」「病気のため」など、多くの理由が考えられる。生活保護を受給できず、貧困や生活苦によって死亡してしまうケースもあり、「日本が本当に恵まれている国かどうか」の議論は絶えない。
確かに日本は多くのケースで最低限生きていける仕組みは整っているものの、最低限のレベルで生きていくことと「貧困」は別問題だとする声もある。生まれた環境が貧困だった場合、学力にお金をかけられず貧困の連鎖も続く。生活保護世帯の4割(25.1%)は出身世帯でも生活保護経験を持っているという、2013年に発表された厚生労働省のデータもある。
春蝶はのちのツイートで、発言は生きていける環境が整った日本に感謝をするべきだという意味だと釈明しているが、相対的貧困率が15%と先進国の中でも貧困率が高い日本において、「貧困」と「強欲」は結びつけようがない。
春蝶の定義する「貧困」は、自己責任による貧困のみを指しているのだろうが、このツイートはあまりにも極端。ツイートから数日経ったいまもなお、春蝶に対する批判はやんでいない。