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ハアさんの厩界舞台裏 ファンタジーS シーズバレンタインが果敢な挑戦

 阪神JFの前哨戦・ファンタジーSに関東からただ一頭、敢然と挑むのがシーズバレンタイン。担当するのは、この道6年目の大原巨督調教厩務員だ。

 重賞挑戦は今回が初めてという大原さんは大学2年の春に中退して、この世界に入った。その際、「青森の実家では親族会議が開かれ、爺ちゃん、婆ちゃんに『グレてしまったのか。思いとどまれ』と、泣きながら説得されました」。
 それも笑い話になり、今は家族みんなが応援してくれている。「あのころ、家族は競馬中継なんて見たことなかった。ところが、今はグリーンチャンネルがあるし、民放でも競馬が見られるようになった」
 関西馬の壁は厚いが、相手にとって不足はない。「スピードはヒケを取らないし、折り合いさえつけば終いは切れる馬。チャンスはあると信じています」

 1勝馬とはいえ、前2走とも中身は濃い。芙蓉S(7着)は大外11番枠が災い。道中は掛かり通しだったが、大物ニシノメイゲツの0秒5差に粘った。続く前走のサフラン賞(3着)はレコードの0秒2差と好走。実力の片りんを示している。
 「精神力の強い馬だから、長距離輸送も初コースも克服してくれるでしょう」と大原さんはあくまでも前向きだ。
 実際、新潟、中山、東京と場所が変わっても馬体重の変動は上下4キロの範囲内。2歳牝馬とは思えない芯の強さがその数字からもうかがえる。
 最終追い切り(南ポリトラック)は輸送を考慮して5F66秒0とマイペースの調整に終始したが、「状態に関して心配な点は何ひとつありません」と太鼓判を押す大原さん。「前に壁をつくり、好位で流れに乗れれば」。金星奪取に力コブをつくった。

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