海外ニュースメディア「THE SUN」は2019年8月20日、34歳の男性が、指名手配の似顔絵を見た男らに容疑者と間違えられ、リンチを受ける事件があったと報じた。
同記事によると、被害男性は、8月15日、カリフォルニア州の地元のバーで44歳の男に絡まれたという。男と面識がなかった被害男性は適当にあしらったが、男の連れとみられる別の男も、被害男性に携帯の画像を見せ「これはお前だろう?」と絡んできたという。
画像は、地元警察が作成した小児性犯罪の容疑者の似顔絵で、年齢やメガネ、特徴のあるウェーブがかった黒髪の長髪や口髭の形などが被害男性と酷似していたそうだ。その容疑者は11歳の少女に卑猥な声かけをしたとして、児童へのセクシュアル・ハラスメントの容疑で指名手配されている男だった。
被害男性は、「容疑者と自分は同一人物ではない」と説明したが、男らは取り合わず「俺には娘がいるからお前みたいなやつは許せない。殺してやる」と被害男性の首を締め、顔を殴り始めたそうだ。周囲の人は傍観しているだけだったという。被害男性が周囲に助けを求め、やっと警察を呼ぶ人が現れた。駆けつけた警察に男は逮捕され、今後、暴行事件として捜査されるそうだ。なお、男の連れは逮捕されていないという。被害男性は重傷で、8月20日現在、自宅で療養中だという。
事件が起こる前に被害男性は、小児性犯罪が起きた場所が自宅と近かったこともあり、容疑者と間違われないよう警察に似顔絵の削除を求めていたという。その矢先に起きた今回の事件に、地元警察は「被害者の男性の身の潔白は立証済みだ。このようなことが起き残念だ」との声明を発表。なお、似顔絵の容疑者は8月20日現在、まだ逮捕されていないそうだ。
被害男性は地元メディアの取材に対し「自警団気取りで、身勝手に他人に制裁を加える人がいる限り、自分の身に起きたようなことは誰にでも起こり得る」と注意喚起している。
このニュースを受けネット上では「犯人だと決めつけて見知らぬ人を殴る神経がわからない」「SNS社会の末路がこれか」「警察は事件が起きる前に、何か対処をすべきだった」などの声が挙がっている。
他にも情報の真偽を確かめない人々によってリンチを受けた男性らが死亡した事件がある。
海外ニュースメディア「BUSINESS INSIDER」によると、2018年8月、メキシコ・プエブラ州で、SNSの誤情報を信じた住民が無実の男性2人にリンチを加え、殺害したと報じた。
同記事によると、同年8月、プエブラ州のアカトランでは「子供を誘拐し臓器売買する男が町にやってくる」という噂がSNSで爆発的に拡散されたという。8月29日、興奮した約150人の住民が警察署に押し寄せた。そこにいた、全く別の件で警察を訪れていた当時21歳の男性と、当時43歳の男性の2人を住民らは誘拐犯と断定。殴る蹴るなどのリンチを加え、ガソリンをかけ火をつけた。住民らの暴挙に警察は何もできず、2人は警察署の目の前で焼死した。後に殺害された2人は犯罪者ではなく、誘拐犯の噂自体もデマであったことが判明。この事件で警察は殺人と殺人煽動で、少なくとも9人が罪に問われると発表している。2019年8月時点でそのうちの3人が逮捕され、その他の逮捕者に関しての情報は不明だ。
正義感をはき違えた私的な制裁で、無実の人が被害を受けることは断じてあってはならない。
記事内の引用について
MOB INJUSTICE Innocent weatherman strangled and battered by vigilantes who mistook him for paedo
https://www.thesun.co.uk/news/9757203/weatherman-battered-vigilantes-paedo/
'I Could Have Been Shot." Man Mistaken for Police Sketch of Predator Gets Beaten Up
https://www.nbclosangeles.com/news/local/Norco-Man-Police-Sketch-Molester-Mistaken-Identity-548045801.html?_osource=mobilesharebar
Two men burned alive by lynch mob in central Mexico
http://www.businessinsider.com/r-two-men-burned-alive-by-lynch-mob-in-central-mexico-2018-8