これらのまつりの共通点といえば、その歴史や火を使うことなどですが、とても近い距離で行なわれているにもかかわらず、持つものが違っています。「火おんどり」は巨大松明を使っているのに対し、こちらでは万灯といわれるものを振り回します。万灯とは、乾燥させた直径10cmほどの麦わらの束を円錐形に束ね,先端に縄の手をつけたもの。大人用で40束ほど、直径1mを超える大きなものもあります。
この万灯に火をつけ「ま〜んど ま〜んど よ〜いよい…」。そう唱えながら、先端の縄を持って360度振り回します。ちなみに万灯を振り回す場所は、万灯山といわれる村の小山で、この夜は女人禁制。間近では見ることはできませんが、下から山を見上げると真っ暗の中、数十個の炎がぐるぐると動きながら、まるでオレンジに燃え上がるUFOのごとく神秘的で、「火おんどり」とはまた違った迫力があります。
「火おんどり」やこの「乗本万灯」のように、無形文化財に指定されている行事は日本各地にたくさんあります。これらは地域ごとに特色があり、何百年も守り継がれている貴重なもの。そして火は人の目と心に焼きつく強力なもの。見る人の心境によっていろいろな形になり、その人の記憶に残っていくのも魅力のひとつ。みなさんも地域に残る伝統芸能に触れてみてはいかがでしょうか?
(「戦国お城情報ライター」Asami 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou