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ローカル回想記 競馬の生き字引 今月いっぱいで定年を迎える長島福三厩務員

 「重賞いくつ勝ったかって?覚えていないよ」長島福三厩務員(鈴木康厩舎)はそう言って笑い飛ばした。生涯重賞と縁のない厩務員が多いというのに、何ともうらやましい話である。
 この道47年ということは、安藤勝騎手(47歳)が生まれた年から馬一筋の人生を歩んできた計算だ。もちろん、武豊騎手(38歳)も、横山典騎手(39歳)もまだ生まれていない。“競馬の生き字引”のような存在なのだ。
 まだ福島、新潟競馬は貨車で馬を輸送をしていた時代。「給料はあってないようなもの。税務署が調査するほど給料もらってないから、税金なんてなかったよ(笑)」ウソのような本当の話だ。泉のように尽きることのない思いで話をすべて紹介するには、“長島福三物語”として連載しない限り無理。ここでは、タイトルの核心部分を紹介する。
 今では福島競馬の風物レースになっている第1回福島記念(1965年)をウイステリヤで優勝した長島さんは、やはり強運の持ち主だ。「優勝賞金は確か、200万円だった」というから、まさに隔世の感がある。ちなみに現在は2歳未勝利戦でも1着賞金は500万円ある。
 それから8年後、オカザキジョウで2度目の福島記念(第9回)優勝を飾っている。当日は土砂降りの雨だった。そこで、追い込み馬のオカザキジョウに対して長島さんは一計を案じた。コンビを組んだ菅原泰騎手(現調教師)に『逃げろ』とハッパをかけ、作戦は見事成功した。
 84年にはヨシノエデンが春、夏の新潟で6戦4勝、2、3着が各1回と大フィーバー。有り余る勢いで、京王杯AH(芝1600m)も優勝。何と1分32秒9と驚異的な日本レコードを樹立している。
 レコードといえば、ダイナオレンジも88年の新潟記念を(芝2000m)1分59秒7のレコードで優勝した。夏に活躍した馬をこれだけ多く担当した厩務員は、長島さんをおいて他に知らない。
 今月いっぱいで定年を迎える(仕事は9月まで延長)長島さんにとって、「クラシックを勝てなかったことが心残り」というが、天は二物を与えなかったということか…。

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