軽装富士登山オフのスレッドでは「上着はTシャツ、荷物はコンビニ袋一つまで、おやつは三百円までです」と記されている。富士山では、山開き直後の7月2日にスニーカー、Tシャツなどの普段着で登山したパチンコ店員の男性が救助されたばかりである。これは衝動的かつ無計画な登山として、マスメディアでは強く批判されていた。
登山には念入りな準備が必要である。無計画な登山は自殺行為である。救助には莫大な労力と費用を要し、多くの人に迷惑を及ぼす。埼玉県の防災ヘリコプターが7月25日に墜落した事件に見られるように、救助作業は作業者にとっても危険と隣り合わせである。
当該スレッドでも、スレッドが立てられた当初は「公序良俗に反する」と批判された。そのまま注目されずに数日が経過したが、7月31日から参加希望の書き込みが寄せられ、どこまで本気か分からないところがある。
軽装富士登山オフは「2ちゃんねる」的なネタとしては楽しめる内容である。パチンコ店員の遭難についてのスレッドでも、大半が店員の衝動的な登山を嘲笑していたが、一部には異なる視点を提示する書き込みがなされた。以下のような書き込みである。
「数年後、長袖のカッターシャツにジーパン、スニーカーの軽装でチョモランマを制覇した日本人が世界から称賛される事となる訳だが…」
「登山に対する新しいスタイルを持ち込んだのかも? 『もっと気楽に富士登山』『どこ行くの? ちょっとそこ(チョモランマ)まで』。5年後本屋に彼の自伝が出ているかも」
マスメディアが垂れ流す画一的な論調とは異なる発想に出会えることが「2ちゃんねる」の醍醐味である。軽装富士登山オフも、ネタとして楽しむことが正解だろう。
(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者 林田力)