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“アラ還”俳優たちが「エンディングノート」を告白 なぜ今60代が「終活」を始めるのか

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夏木マリ

 最近、芸能人の「終活」宣言が話題となっている。

 女優の秋野暢子(62)は1月21日、「ノンストップ!」(フジテレビ系)で、60歳になったことを機に「日本尊厳死協会」に入会し、治る見込みのない病気になったとき、延命措置をせず、自然死を選択する意思を公表した。また、2月18日には、歌手で俳優の夏木マリ(66)が出演ドラマのイベントで「私も人生の終末に向かっていて、葬式の音楽はこうしてとか、エンディングノートを書いている」と明かした。

 なぜ今、60代の芸能人たちが続々と「終活」宣言をしているだろうか。

 2018年に楽天インサイト株式会社が実施した「終活に関する調査」(20〜69歳の男女1000人が対象)によると、「終活」という言葉を聞いたことがある人は96.6%。「終活」の意向がある人は39.1%。女性の意向がより高い結果になった。また、8割以上の人が「エンディングノート」を認知。しかし「用意をしていない」人が9割弱に上った。

 「終活を具体的に何歳頃に始めたいか」という調査項目では、60代が42.1%と最も多くを占めた。年代別にみると、20〜50代では「60代で終活を始めたい」という人が最も多いという結果に。60代の芸能人たちが終活宣言をしている現状と、一般人の意識が合致していることが分かる。

 では、なぜ60代になると終活を始めたいと思うのだろうか。同調査によると、「家族に迷惑をかけたくないから」が71.4%と最も高く、「病気や怪我、介護生活で寝たきりになった場合に備えるため」(48.6%)、「葬儀などの希望を家族に伝えるため」(38.9%)、「自分の人生の終わり方は自分で決めたいから」(38.6%)が続いた。

 今回、61歳で終活を始めた女性(以下A子さん)に取材することができた。A子さんは独り暮らしのシングルマザー。昨年から終活や尊厳死を意識するようになったという。見た目は若々しく60代には、とても見えない。

 「昨年の夏に悪性リンパ腫に罹患して、抗がん剤治療をしました。そのときに今まで漠然と考えていた“死”が急に身近に感じられて。あと、女優の樹木希林さんが亡くなられたのが治療と同じタイミングで。『死ぬときくらい好きにさせてよ』(編集部注釈:宝島社広告)という広告がありましたが、まさにあの心境でした」と、終活のきっかけについて話してくれた。

 家族については、「娘には延命処置は絶対にイヤだと伝えてあります。あとは、不動産などの手続きをまとめようと思っています。実際、父が死んだときにゴミ屋敷になっていて私が困ったので」と、既に意向を伝えてあるようだ。

 ネットでは「60歳くらいになると体調不良とかで終活を考えるようになった」「50代まではピンと来なかったけど、60歳を過ぎて親が亡くなったとき大変だったので、私が死んでも家族が困らないようにエンディングノートを書いている」「定年後に断捨離から始めたが思った以上に体力が必要でなかなか進まない。終活を始めるなら、なるべく早くすべきだった」といった意見があった。

 60代は仕事が定年を迎え、ライフスタイルが変わる人が多く、時間にゆとりが持てる分、自分の人生を見直す機会が増えるという人も多い。また、時間があるので自分のペースで終活を進められるというメリットもある。60代が終活を始める背景には、こうした要素があるのではないだろうか。

 ひと昔前の「死んだ後は子に任せる」というやり方は、もう時代遅れなのかもしれない。

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