麻薬取締部に覚せい剤取締法違反で逮捕されたのはイラン人のアボルファズル・ザルバリ容疑者(42)。ザルバリは密売組織のリーダー格で、4人の売人を使って密売をしていたという。今年5月から7月にかけて、港区のマンションなどで覚せい剤約20グラム、コカイン42グラムを所持していた。
1日平均70人に売りさばき、1カ月2000万円の売上を得ていた。
それにしても、なぜ六本木ではなく、高級住宅地なのか。麻薬取締部のOBが言う。
「これまでイラン人などの不法外国人は、六本木に遊びにくる外国人やビジネスマンをターゲットにしていた。ところが、麻布警察署の必死の捜査で薬物を売買するクラブが悲鳴を挙げましてね。麻布署の目が怖くてとても密売の場所を提供できない。そのため、売人らは六本木に隣接する麻布、白金、世田谷にまでエリアを広げた」
密売の方法は売人の携帯電話だ。携帯には一台30人から50人の顧客がついているという。売人は代かわりする度に携帯電話を50万円から100万円で次の売人に売っていく。
電話番号やメールアドレスは購入者から口コミで広がり、薬物が主婦やサラリーマンに蔓延していったとみられる。六本木が舞台になった際は外国人が多かったが、今回の摘発は主婦やサラリーマンが多数を占め、「こんなに買う奴がいて、日本は大丈夫?」とイラン人も驚いたほど。ザルバリは1996年頃から偽造旅券で密入国を繰り返し、都内や中部地方で覚せい剤を密売してきた。
今回、ザルバリらの摘発に当たった麻薬取締部の中心になったのはイラン人の密売に詳しい精鋭だと関係者は言う。
「イラン人は最初、東京の代々木に屯していた。それが上野に移り、さらにまた名古屋へ移動した。行く先々で違法薬物を密売していたが、今度の捜査の中心になったのは名古屋で辣腕を振るった取締官。イラン人を震え上がらせた人物です」(前出のOB)
だが、摘発を逃れた連中は、場所を変えて密売を始める。いたちごっこなのだ。「イラン人の密売は桜前線とともに、北上するとも言われるんです。寒いのは苦手ですからね。暖かくなると、北上して密売のエリアを広げる」(OB)
辛くも逃れたイラン人はどこで商売を始めるのか。
(写真=イメージ)