麻生首相が来春以降の解散を示唆したことについて、永田町関係者は「やっぱりそうきたか」と冷笑した。
「総額2兆円のバラマキとなる定額給付金も効果なく、首相株は下落の一途。こうなると打つ手はひとつ。無党派層の投票行動による影響を抑えるため、なるべく投票率の下がるタイミングで選挙をし、組織選挙で固定票を生かすしかない。全国民が北京五輪のリベンジを期待し、政治への関心が薄れる来年3月中旬以降の“WBC解散”狙いだろう」(同関係者)
原ジャパンで挑むWBCは、3月5日の第1ラウンド(予選)中国戦で開戦。同月15日から2連覇のかかる第2ラウンドに突入する。野球ファンでなくともテレビにくぎ付けにされそうだ。そのぶん政治に目が向かなくなるから、このタイミングで解散総選挙をぶつけられると、投票率が下がることが懸念される。
各種世論調査によれば、“経済の麻生”をアピールするはずだった定額給付金は国民にほとんど評価されず、むしろ「バラマキ」との批判が高まっている。このまま政権支持率がじわりじわりと低下すれば、福田前政権の二の舞になる。
そうした読みもあってか、解散総選挙の話題を避けてきた首相がワシントン市内のホテルで記者団と懇談し、核心に触れた。共同通信によると、首相は「景気対策を考えたら、予算は年度内にきちんと(成立させ)スタートすることが大事だ」と述べたという。
首相は解散時期をめぐり、細川、羽田内閣時代の1994年に予算成立が6月にずれ込んだことを挙げ「景気を決定的に悪くした」と強調。その一方で「この日と決めていても持たないときもあるし、最初から話がぶつかってどうにもならないときもある」と話し、国会情勢によっては解散時期が早まる可能性があると示唆。「あらかじめ(来年)4月と決めておくわけではない。来年1月の施政方針演説で表明して冒頭解散もある。ナニが起こるか分からない世界だ」と含みを持たせた。
自民党内では解散時期をめぐって、14日に大島理森国対委員長が「年内解散はない」と明言。笹川尭総務会長は10日の日本BS放送番組で来年3、4月ごろが最有力との見方を示し、来年9月の任期満了選挙はないとして「あったら丸坊主になる」と妙な自信をのぞかせた。
果たして、超ディフェンシブな“WBC解散”はあるのか?首相の発言から目が離せなくなってきた。