冒頭で首相が「あの夏の総選挙の勝利者は国民一人ひとりです」と声高々に語れば、議会の過半を占める民主党議員らは拍手喝さい。逆に野党へと転落し、今や端に追いやられてしまった自民党議員らからは「具体的なことを言え!」「はやく仕事をしろよ」と激しいヤジが飛んだ。政権交代を象徴する光景だった。
その自民党議員らの最後列で腕を組みながらニヤリとほくそ笑んでいたのが麻生太郎前首相。理想の「友愛政治」を語り続ける鳩山首相を横目に、森喜朗元首相と言葉を交わす。その後、満面の笑みで鳩山首相に目を向けるかつての2人の首相。
「やれるもんならやってみろ。これからが大変なんだよ」。口角をつり上げたお決まりの表情を見せる麻生前首相からは、そんな言葉が聞こえてきそうだった。
約1万2900字の長文で、52分という異例の長さとなった所信表明に鳩山首相のヤル気は感じられる。しかし、これからの鳩山政権に問われるのは、その実行力にほかならない。