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【新宿ゴールデン街わらしべ散歩】3軒目「BAR 原子心母」

 戦後60年以上ほとんど姿を変えない町、新宿ゴールデン街。東京・新宿区歌舞伎町1丁目の狭い区画に200以上の店舗がひしめく夜眠らない街だ。イチゲンさんを寄せ付けない雰囲気ながらも、ひとたび入り込んでしまえば、客を魅了し離さない。そんな街をふらりと訪れてみた。ゴールデン街のお店同士の横のつながりで「わらしべ長者」みたいに、どんどん繋がっていけないかな? という企画の今回が3店目。

 前回の店は、ゴールデン街の入り口大看板からすぐの「鉄板焼き ばるぼら屋(新宿区歌舞伎町1-1-8)」。笠井正美オーナーが歌舞伎町で関西の味を守る鉄板焼きの店だ。ここでガッツリいただいた。

 「おなかいっぱいになりましたか? ゴールデン街にもそろそろ灯りが灯りはじめてきましたね。じゃあ僕が経営しているBAR行ってみますか?」。人懐っこい笑顔で笠井オーナーが聞いてきた。時間は19時。そうだ、行かない手はない。

 「ぜひ! お願いします」

 店を出て目的地はすぐだった。バルボラ屋の2軒となり、ホルスタインの牛の看板が扉の上にかかっているBAR「原子心母」。オーナー、このお店なんて読むんですか?

 「そのまま読んでもらって結構ですよ。『げんししんぼ』です。ピンク・フロイドが好きなんですよ。バーカウンターにはそのLPレコードジャケットが飾ってある。看板もジャケットで絵作ったんで、勘違いしたお客さんは『ここ牛乳飲ませてくれる店?』なんて言われたこともありますよ(笑)」。

※「原子心母」 (原題:Atom Heart Mother) は、1970年に発表されたピンク・フロイドのアルバム。プログレを代表する名盤として知られる。牛のジャケットも有名。

 そうか、昔のLPには、たいがい邦題が付いていたよな。ビートルズの「ノルウェーの森」だって原題は「Norwegian Wood」。直訳すると「ノルウェー製の家具」ってところだもんな。これは、直訳しなくてよかったパターンだよなあ。あ、でも「原子心母」って直訳パターンも、今になってみるとなんだか味があるよなあ。

 思っていると、ラフロイグが出てきた。「この近辺でこのモルトをこの値段で出してるとこってないんじゃないかな」。たしかに、ワンショット600円なんて(笑)。「ショットでいちいち値段を変えるのがめんどくさくてさ。一律料金だよ」。オーナーいい人だ!

 1階は8席のカウンターで、カウンターに立つ“ママ”は日替わり。だからその日によって掛かる音楽も、場の雰囲気もガラッと変わるようだ。また、2階は10〜15人ほどが入れるスペース、壁はギャラリースペースとなっていて貸し出しは無料だそうだ。

 「たぶん、日替わりママ制度作ったのも、ギャラリースペースをゴールデン街で作ったのもウチが最初じゃなかったかな。そのあとパーッと広まっちゃって(笑)。いつの間にかゴールデン街のスタンダードになってしまったんですよ。でも良かったのかなあ、と思うときもありますよ。それまではどこそこの店にはこんなマスターがいるとか、あのママはどこにいるってのが何度か通っていくうちに分かってくるんだけど、今は同じ店でも日によって個性が違う感じになってしまったからね。この間いい雰囲気で飲めたからまた同じ店に来たとしても、今日は違う雰囲気だったってこともあるし」

 うーん…突き詰めていくとゴールデン街は「人を探して飲みに行く街」なのかな。ちょっと酔っぱらってきたみたいだ。あ、笠井オーナーが言ってる。「じゃあ、その探してでも飲みに(会いに)行く人を紹介しようか」お、お願いします!

■BAR 原子心母

住所 新宿区歌舞伎町1-1-8
営業時間 19:00〜翌5:00
定休日 なし
席数 約17席
チャージ 800円
ワンショット600円から

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