「私たちは女性同士という安心感もあり、すぐに地元でお茶をするくらいの仲になりました。でも、よく話してみると、Bさんとは正直あまり合わなかったんです。私はいつでも笑っているのがとりえのような人間。でも彼女はちょっとネガティヴというか、リラックスできなかった」(Aさん)
それからもAさんは、たまにBさんにランチに誘われたりした。取引先だし、特に考えることもなく、応じていたようである。
「もちろん楽しく談笑したりすることもありました。…というか、田舎の若い女性同士のこと、皆さんの想像とは違って、男の話をして下品に笑いあうことだってあります」(同)
そして、ある時のこと。
「私はBさんと ちょっとした意地の張り合いのようなことで 口論となりました。男性はわからないかもしれませんが、女同士にとってはけっこう大きなことです」(同)
それから数日して、異変は起こった。
「…会社の私のアドレスあてに、へんなエロ写真が添付で送られてくるようになったのです。手、足、女性器のアップ…一人の女性のもののようでした。男性でこういういたずらをする人は田舎ではよくあることです。でも、タイミングからいってまさかとは…思ったのですが、Bさんではないかと疑っていました」(同)
さらに数日後、Bさんからこんなメールが来た。
「『ごめんね、あれあたしなの』、そう書いてありました。私はBさんに対し、あきれるばかりでした。(なんてカミングアウトなのよ?)そう思いました。しかし、問題は添付画像でした…。添付画像を開いてみると、スクロールしながらではないと見られないほどの大きな画像…。それは、にっこり笑うBさんの全身の裸体でした。浅黒くてハリウッド女優のような、いかにもモテそうな美人、そんなBさんの画像の右肩から右の乳房にかけて、焼けただれたおおきなケロイドのあざがあり、目を背けるほどでした。つまり、彼女自身の写真を順番に送りつけてきたのでした」(同)
Bさんからの同メールには最後、こう記されていた。
『こないだ○○さん(Aさん)に、モテるでしょ? ってしつこくきかれたでしょう? 私は、口ごもってうまく答えられなかった…。でも私は、こんなふうにからだの前に大きなあざがあるから、男の前で裸になることができないのよ。ちょっとしたカミングアウト、笑。ついに秘密を打ち明けちゃった。てへぺろ。これからもずっと友達でいようね』
Aさんは、最後にこんなことを言った。
「私は少し涙を流していました。でもそれは悲しいと思って流れた涙であったのと同時に、なにか底知れぬ恐怖を浄化したくて流していた涙だったのかもしれません」