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『新潮45』休刊騒動で思い出される『マルコポーロ』事件

 LGBTをめぐる記事をめぐって炎上していた『新潮45』(新潮社)の休刊が発表された。同誌は1982年に創刊され、名前の通り45歳以上の中高年に向けた健康情報や、文化人の読み物を掲載していた。その後、90年代に入ると、犯罪ルポなどが多く掲載されるアクの強い雑誌となって行く。近年は、世の中のトピックに「物申す」系の記事を多く掲載し、杉田水脈衆議院議員が2018年8月号に寄稿した『「LGBT」支援の度が過ぎる』が問題となり、さらに、同10月号のバッシングへの反論特集『そんなにおかしいか「杉田水脈」論文』が物議を醸し出していた。

 「9月21日には、新潮社の社長名義で『あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられた』と談話が出され、9月25日に休刊が発表されています。ネットでは、すでに原稿発注を受けて執筆していたが、雑誌休刊で掲載されないといった執筆者の声も聞かれますので、かなり緊急に決定されたものだといえるでしょう」(業界関係者)

 この唐突な休刊で思い出されるのが、1995年に起こった『マルコポーロ』(文藝春秋)の廃刊事件である。

 「1995年の2月号に『戦後世界史最大のタブー。ナチ『ガス室』はなかった。』とされる記事が掲載されたのです。これが、アメリカのユダヤ人団体から強い抗議を受け、さらに広告主が広告を引き上げる動きを見せました。雑誌にとって広告出稿は生命線のため、文藝春秋は即時の廃刊と、田中健五社長の辞任、さらに花田紀凱編集長の解任を決定しています。『マルコポーロ』は同時期に多く発行されていた男性向けビジュアル雑誌ですが、売上が低迷しており、目を引く記事を載せたところ問題となりました。これは『新潮45』の現状と一致しますね」(前出・同)

 『新潮45』も『マルコポーロ』も文芸系の出版社が発行する異端の雑誌が問題を起こした形だ。通常、雑誌に問題のある記事が掲載された場合、反論記事の掲載や幅広い議論が望まれる。だが、雑誌休刊でそうした機会がなくなってしまうのは残念ではある。

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