この要因について、JTは「複合的であり一概には言えませんが、高齢化の進展、喫煙と健康に関する意識の高まり、喫煙をめぐる規制の強化や、10年10月に実施された増税・定価改定によるものと考えております」と分析している。
近年、喫煙をめぐる規制強化は著しく、公共の交通機関、公共施設では禁煙化に拍車がかかっている。たばこを吸いたくても、喫煙所を探すのにひと苦労するのが、喫煙者の実状で、年々肩身が狭くなっている。
ただ、喫煙人口が大幅に減った最大の要因は、昨年10月の大幅値上げ(増税)だ。おおむね、1箱300円から410円に値上げされた。さすがに、この際には、禁煙外来にかかってまで、たばこをやめた人も多かったようだ。
JT、喫煙者を取り巻く環境はさらに悪化することが予想される。民主党はさらに、来年10月から1本2円(1箱40円)の増税をもくろんだ。これには、葉たばこ農家への影響を配慮して、自民党が猛反対。与野党協議の末、民主党はたばこ増税の見送る検討に入ったが、今回の値上げがなくても、近い内に再燃するのは必至。小宮山洋子厚生労働大臣は「最終的に700円くらいにしたい」と明言した。民主党が全般的にたばこ増税に意欲的なのは明らかで、JTにも愛煙家にも、より一層厳しい時代を迎えることになりそうだ。
(蔵元英二)