名前の挙がっている7人全員が、立候補に必要な推薦人20人を集められるかは不透明。5人以上ならば、71年の推薦人制度導入以降、過去最多候補による乱戦となる。
石原知事は伸晃氏にも勝機ありとみたのか、いまにも炸裂しそうな“親バカ”をこらえるのに必死だった。
候補者の顔ぶれについて「私の息子もいるみたいだけどさ、全然相談も何もなしですよ。それでいいんじゃないですか」と努めてクールに感想を述べた。
親としてのアドバイスは「ありません。やりたきゃやれ」。個人的に応援する気持ちについてさえ「そりゃ親だから声援はしますよ。しかし、私1票持っているわけじゃないから」と距離を置く発言にとどめた。
知事は89年総裁選で海部俊樹元首相に敗れている。石原家としては2代連続挑戦で、リベンジとの見方がある。しかし知事は「別に…(笑)」とエリカ様ばりに興味なし。「総裁に立候補して、総裁になり、総理になったら何をするかって話は聞いてませんし、してません」と完全無視状態にあると明かした。
さすがに伸晃氏の総理総裁の資質については「勉強次第だろうね」と否定しなかったが、「もう少し果断なところがあってもいいと思っていつも注意するんだけど、『お父さんを反面教師にする』と、言うこと聞きませんでね。だから新聞記者と仲良くやれるんだろう、あいつは」と自虐的ギャグで笑いをとった。
背景には、衆院議員の3男・宏高氏(44)が落選した03年総選挙の苦い経験がある。出しゃばりすぎて“親バカ”などと報じられ、足を引っ張るはめになったからだ。
発言に影響力があるだけに、援護射撃のさじ加減が難しいところ。鼻につかない程度にしなければならない。この日の知事はどんな質問にもキレずに全問回答した。
伸晃氏の政策についての感想を述べる中で「いや、それも詳しく聞いてねえから。そりゃ私よりは税制、財政に詳しいから、ときどきこっちが聞くことはありますがね」とさりげなく伸晃氏の財政通ぶりをアピール。安倍晋三、福田康夫と2代続けて2世議員の総理が突如政権を放り出したため、伸晃氏は投げ出すようなことはないか、との質問までぶつけられたが、「あれ(伸晃氏)は2世じゃないですよ。私の選挙区を継いだわけじゃないし、独立独歩でやってきたんでね」と弁明した。
さらに候補者による政策論争を前に「これ以上国債に依存していいんですかねえ」とチクリ。「麻生氏とはウイングが逆」と述べた構造改革派の伸晃氏をフォローした。