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男と女の官能事件簿 不倫で妊娠させた女性を殺害し自宅に埋めたイケメン男(1)

 2005年4月25日夕方のこと、鎌倉・由比ヶ浜海岸を見渡す閑静な住宅街の一角が緊張した様相を呈していた。現場は一軒のまだ真新しい3階建ての住宅だ。

 その周りを非常線が張り巡らされ、敷地内は青いビニールシートで覆われている。その内側では、神奈川県警の捜査員たちによって敷地の地面が掘り返されていた。
 だが、警察が目をつけたその地面は、コンクリートで固められていた。それを砕いてから、さらに下の土壌を掘り進む。
 そして地面から1メートルほど掘り進んだところで、ビニールシートに包まれた女性の遺体が発見された。前年の12月から行方不明になっていた、藤沢市に住む遠山明美さん(33)であった。
 そして、警察はその家に住む会社員、山下浩之(34)を死体遺棄容疑で逮捕した。山下は明美さんと交際しており、しかも彼女は妊娠8か月という身重だった。

 山下と明美さんが知り合ったのは、事件から約2年半前。山下が仕事で訪れた取引先で、勤めていた明美さんに声をかけたのきっかけに交際が始まった。
 独身の明美さんに対し、山下にはすでに妻子がいた。当初、結婚していることを隠して交際していた山下だったが、やがて明美さんに知られることとなる。それでも明美さんは、山下との交際を続けていた。

 その山下だが、自他ともに認める「モテモテのイケメン」だった。ルックスもよく、しかも話もうまくて女性の扱いもかなり慣れていた。学生時代からかなりモテたらしく、「オンナに不自由しないヤツ」と周囲からささやかれていたという。
 また、山下の妻は国際線の客室乗務員だったため、仕事で家を空けることが少なくなかった。それを利用して、山下は明美さんとの密会を重ねていった。
 そして、2人の関係は月日を経るごとに深まっていく。2004年の春頃には、山下は明美さんの住むアパートにほとんど入り浸りのような状態になったという。
 それでも、山下の妻は自分が家を空けがちなことや、夫の「仕事の都合で外泊する」という言葉を鵜呑みにして、とくに山下を疑わなかった。
 そうやって、山下は自宅と明美さんのアパートを行き来するような生活を楽しんでいた。とくに明美さんのアパートの周囲では、2人を夫婦だと思っていた住民も少なくなかったらしい。だが、その生活も長くは続かなかった。 
(つづく)

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