「小学3年生くらいから、家で、またコンピュータの授業の時にいろんな裏サイトをみて、次第に裏のスキルがそなわりました。4年生の夏から地元の中学の悪い先輩たちとつるみだしたんですが、ぼくのヘマがバレて、先輩達が大変なことになった。それで先輩のひとりからボコボコにされて学校に行かなくなり、引きこもりです。すぐパソコンに戻って、いつの間にか応用の技術がついていったんです。アフィリエイト詐欺をはじめたのが、5年生の終わりごろでした。お金がたまると、自分のパソコンをヨドバシカメラで20万キャッシュで購入しました。もう親にばれる心配もなくなりました」
そんな十文字さんは、あるやり方で、詐欺をはたらいていった。
「…WEBアプリケーションつまり掲示板などのHPや、メールソフトとかのパソコンソフトには、必ずと言っていいほど、《脆弱性》つまり(弱点)、が存在しているんです。ぼくは、<大手ネットコミュニティM>をはじめ、いくつかの有名なHP作成サイトを狙い、脆弱性を探して利用することでパスワード認証を回避して、ホームページを改竄していたんです」
次第に饒舌になっていく。
「そうですね、具体的には、クラックしたサイトに、あるプログラムを埋め込み、それによって、<サイト訪問者がページを読み込むと同時にクリック保証の広告サイトも読み込む>、という内容にしました。ダミーとして表向きにきちんと広告を掲載しながら、裏では不正なプログラムを動かしていた」
結局、十文字さんは、自分で作成したHPではなく、大手ネットコミュニティM等のホームページスペースや、ランキングサイトなどを狙い、1日1500ユーニクアクセスといった定期アクセス数があり、なおかつ管理が疎らなHPに狙いをつけ、脆弱性を探してそれを利用してパスワードを解析して、認証を回避し、サイト訪問者がページを読み込むと同時にクリック保証の広告サイトも読み込む罠が付いた広告を埋め込んだ、ということである。同じこと言っただけか。
「そうやって複数のHPを乗っ取って、広告を掲載していきました。会社予算の上限も決まっているのがクリック保証アフィリエイトですが、いくつか乗っ取るので、1クリック3円もあれば十分でした」
小学校のときは、最大時で10サイトを「クラック」したらしい。
「クラックしたサイトを申請し、1サイトにつき1クリック2円〜10円程度のサイト別広告を取得することによって、ちりも積もれば山、の金額を詐称することができるんです。3円×1500=4500円程度が一日の最低ラインとして、6つ乗っ取ったHPがあると、×6社で、一日27000円も儲かる。するとだいたい一か月で80万円。これは単純計算ですが、それに近いときはありました。さすがにエスカレートしてくるとやばいかなと思って、一か月で逃げてしばらくおとなしくするんですが…お金がなくなるとまた繰り返したのです」
(続く)