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多くの映画の題材になった阿部定、最後に勤めた元遊郭取り壊しへ 地元住民は安堵、ネットは反対意見も

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画像はイメージです

 丹波新聞が21日、兵庫県篠山市内の市街地にある元遊郭の建物「大正楼」が、老朽化などの損傷が激しいため、近く取り壊されると報道した。大正楼は、昭和初期に愛人の男性を殺害した「阿部定」が最後に遊女として勤めた場所。地元住民は、「崩れ落ちているところもあり、取り壊されると聞き安心している」「遊郭があったということに良い印象はない」と複雑な心境を吐露しているという。

 阿部定とは「阿部定事件」という猟奇的な事件で有名になった殺人者である。東京生まれの定は17歳で自ら芸者となり、以後、遊女や妾などをして富山、飯田、名古屋、大阪、篠山など各地を転々。1936年(昭和11年)5月、東京市荒川区尾久で定は、愛人の料理店主・石田吉蔵を絞殺。さらに男性器を切り取り、持ち歩いて逃げた。吉蔵殺害から2日後、定が品川駅前の旅館で逮捕されると新聞各紙は大々的に報じ、一大センセーションを巻き起こした。

 裁判で「吉蔵を殺して永久に自分のものにするほかないと決心した」と語った定は、「なぜ男性器を切り取ったのか」という質問に、「一番かわいい大事なものだから、誰にも触れさせたくない。石田の男性器があれば一緒にいるような気がして淋しくないと思った」と答えたという。定は懲役6年の判決を受けたが、5年後に恩赦を受け、出所している。バーなどを経営した後、1971年(昭和46年)に失踪し、消息不明となった。

 一途に男を想う"究極の純愛"として語られることもあり、数々の映画や文学作品のモチーフにもなった阿部定事件。1976年には、事件をモデルとした作品に大島渚監督の『愛のコリーダ』が公開。内容が物議を醸し、関連書籍が刑事裁判に発展(無罪確定)するなど世間を賑わせた。

 これほど有名な定がいた遊郭ということで、ネットでは「遊郭だった痕跡を忘れたい、なんて抜かす住民に怒りを覚える」「元遊廓は決して暗いだけの過去ではない」「地元住民の意見が残念」と、大正楼を残すべきとの意見や住民を批判する声が多かったが、「保存して欲しいという意見が多いけど、実際にこんな崩れかけた建物が自分の家の隣にあったら嫌だ」「確かに遊郭にはどうしてもマイナスなイメージ」「100年前の有名な無人ラブホが近所にあったら住民の気持ちがわかるでしょ」と住民に理解を示す声もあり、議論白熱。

 元遊郭の建造物は、ファンも多くたくさんの写真集などが出版されているほどだ。しかし、それは“お客様”だからこその楽しみ方かもしれない。

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